ブラザーに愛をこめて
02
じょ、冗談じゃない!!!
お、俺が?こいつに?頭を下げろってか!?
「調子に乗るなよ!誰が頼むかよ!バーカ! 替えがあるからそっちを着ていく!」
「そっかぁ。替えも俺が持ってるんだけどなぁ」
「………っ!」
……なに!? くそぉ!先手を打たれた!
なんでこいつは頭悪いくせに、こういう悪知恵は働くんだよ!
「さぁ。どうする?時間がなくなっちゃうよ?翔ー太!」
「………っぐ!」
頭は死ぬほど下げたくない!
けど、私服で行くわけにいかないし…時間も過ぎていく一方だし…
……ぐぐぐぐぐぎぃ!!!
もう!どうにでもなれ!
「お、お、俺に!洗ってい、いただいた、夏服…を下さいっ!!!」
「………ふっ」
「下さい」の部分は、かなり怒りを露わにしていた俺、一方の兄貴は楽しそーうに俺を眺めていた。
めちゃくちゃな奴だ!!!
「はい翔チャン?、どーぞ。いやぁ、いつもそんな風に素直だと可愛いのにねぇ?」
───こ、こいつ!!!絶対に許さねえ!!!
屈辱に顔を真っ赤に染め、握り拳をつくっていた俺を兄貴は口角を上げて見ていた。
だが、なんとか兄貴から制服を取り返す事ができ、やっと夏服に袖を通すことができた。
無駄な時間を過ごした気分だ。
「くそぉ!朝ご飯もまだなのにぃぃぃ!!!」
「あれ?やっと着替えたんだ?ずいぶん遅いお着替えね、翔ー太」
「うるせ!誰のせ──っ!!!」
兄貴に怒鳴り込もうとしたのに、情けない事に俺は足の小指を角にぶつけてしまった。
「────ッ!!!!」
痛みにしゃがみ込んでしまった俺を見て、兄貴は呆れるようにため息をつきつつ、しょーがない奴と少し微笑んでいた。
兄貴のその姿に俺は気付くはずもなく痛みに悶えていた。
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