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ブラザーに愛をこめて
12

「…この手離せよ」

「…‥」

絡まれた手がようやく離されたのはそれからまもなくだった。
女の子だったら嬉しいけど…隣にいるのが兄貴じゃねぇー‥

「…そんなにムスッとした顔しなくても良いだろうっ!」

「すいませんね!いやな時は、まず最初に顔に出るんです」

「……っ」

兄貴相手に、とびきりの笑顔なんてつくれるかよ!それに俺だって兄貴が大嫌いなんだ、それが自然と顔に出ちゃうのは仕方ない事だと思う。

「‥翔太、お前は俺の何が不満なんだよ!」

「全部だ!!俺様なとこ自分中心だと思ってるとこ友達を差別するとこヘラヘラしてるとこ、ぜーーんぶ不満だ!!」

「……」

よーしよし!兄貴によく言ったぞぉ、俺っ!!
しかも即答で言ってやったぜ。

しかしそんな俺に対して、兄貴は顎に手を添えて何やら考え込んでいた。
けど、それも直ぐにとくと背を向けてた兄貴が、俺の方に薄笑いをしながら振り向いてきた。




「──じゃあ、お前は‥俺が全部直す努力をしたらもっと好きになるのか?」

「……ん?」

「そしたら、もっと俺を見てくれるのか?目を逸らさないで」

「……はぁ?ま、まぁ‥少なくとも嫌いにはならないと‥」

よくわかんないけど、兄貴が言ったことに取りあえず相槌を打つと、兄貴は次の瞬間ニヤリと笑ってまた口を開いた。

その笑い、真面目に怖いって!

「わかったよ」

「…は?‥何が?」

「…お前の言うこと聞いてやるよ。そしたらもっと俺を見るんだろう??」

「…?」

俺は、片眉を上げた。
また兄貴の意味不明モードのスイッチが入ったらしい‥
はーぁ‥俺も龍の兄ちゃんみたいな優しい兄貴だったらよかったのになぁ。
だって、うちの兄貴は日本語話してるはずなのに意味不明なんだもぉーん。

「あーはいはい。なんかよくわかんないけど、兄貴が直せるもんだったら、さっさと直せよ」

「…‥あぁ。それでお前がもっと俺を見てくれるんだったら安いもんだ」

「…え?聞こえない‥」

「なんでもない」

「…‥あっそ」



「……」

(…クス)


──だけど、この時兄貴はそんな俺を横目にこっそりと覗くと1人、額に手を置いてクスクス笑っていた。

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あきゅろす。
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