ブラザーに愛をこめて
11
教室に戻ってくると、一番最初に先生は出席簿で頭を叩いた。
俺が一番前の席だった事もあって、先生にはサボっていた事がバレてしまってたらしい…。
そして俺は、放課後1時間もお説教をくらっていた。
「……はぁー」
しかも龍のやつが、口を聞かないと言っていたのはデマではないらしく、待ってもくれずに本当に先に帰ってしまった。
たまたま愛子さんと帰りがカブったから、と言う理由だったらどんな良いか…。
俺は情けなくも、背中を丸めてトボトボ寂しく校舎をあとにしたのだった──が、
「おせーよ!」
(…は?)
「っ、…あ、兄貴!?」
「お前は一体、何時間待たせるつもりなんだよ!翔太」
「…はいっ!?」
ちょ、ちょっと待て?何時間待たせるんだよぉー…って、一体何の話しをしてるんだ?
兄貴は出入り口で、イライラ気に腕を組んで立っていた。
まるで、約束をしていたみたいな口振りだったけど、俺があの兄貴なんかと帰りの約束なんて──無論、した覚えなどなかった。
「人を待たせるなんて、いい度胸だなぁ?翔太ー」
「っ、はぁぁ!?俺がいつ待ってくれなんて頼んだんだよ!」
「‥生意気な言い方するなぁ?寧ろ、感謝しても良いんじゃないか?この俺が、お前の為に待っててやったんだからなぁ?」
「……」
…ったく!恩着せがましいことこの上ないな。
それに、誰が誰に感謝しろってぇ?ふざけるなよっ!
「翔太、嬉しいだろ?兄貴様と一緒に帰れるんだからな!」
「…いい迷惑だ!」
そう毒を吐くと、俺は兄貴を置いて先に家に帰ろうとした。今、誰かと話す気分になんてとてもならなかったからだ。
だけど、後ろから手を引っ張られて足がよろめいた…
「──っ!」
「勝手に人を置いて行くな」
「…‥だから、」
「翔太、帰るぞ」
「兄貴っ!!」
「黙れ」
人の話しなんて聞いちゃいない兄貴が、そう言って強引に俺の手を引きながら帰った。
俺は兄貴のペースが早すぎて、突っかかりそうになる足元を必死でなんとか保っていた。
「兄貴さー、なんで俺を待ってたわけぇ?」
「人を待ってるのに理由なんかいるのかよ…」
「俺と兄貴は話しが別だ!」
「……」
だって、兄貴が俺を待つ理由なんてちっとも分からないから。それほど仲の良い兄弟でもないし、寧ろ兄貴は俺を嫌ってるくらいなのに。
今だって子供の頃のように、俺と手を繋いだままだ。‥いや、俺は離そうとしてるんだが兄貴が手を絡めてきてなかなか離してくれないんだ。
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