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ブラザーに愛をこめて
08

「視線?」

「…あぁ。兄貴がさー、すんごい俺を見てくるんだよ!」

「へぇー…怜治さんがねぇ」


「…俺、兄貴になんかしたかなと思ってさぁー‥」

「え?翔太、怜治さんになんか反省するような事でもしちゃったのか?」

「べ、別に!俺何もしてないけどアイツが睨んでくるから!」

さっき見せた兄貴のあの視線は、流石に少しゾクッとした。
帰りが遅くなった時に見せるようなあの視線ではなく、もっとこう‥それよりも深いものを俺は感じたんだけど…

「…‥それに、怜治さんが翔太を睨むのだって、昨日今日始まった事じゃないじゃん」

「そ、そうだよなぁ?」

やっぱり‥俺の気のせいだったのかもしれないよな?



「何こそこそ話してんだよ」


「あ。怜治さん…」

「!!!」

噂をすればなんちゃら…‥
居るはずのない兄貴がいた。
このジンクスって、本当だったんだな?!って感心していたら腕を勢いよく引っ張られた。もちろん兄貴にね。

「お前、何男のクセして男同士で密着してんだよ!」

「みょ、妙な言い方すんな!」

「お前らが必要以上にベタベタくっ付いてからだろ!」

「っ、友達なんだからくっ付いて話すくらいするだろう!」

「キモイから密着するな」

「はぁぁぁー!?誰も兄貴の意見なんて聞いてねぇし!!」

なんで兄貴が俺たちの所にいたかはこの際置いといて、俺たちの友情にまで口出ししてくるのは、ひどく侵害だった。
けど龍は、そんな兄貴でも今まで気にせずにずっと俺に接してくれる友達なんだ。

「それに、これは俺と龍の問題なんだから兄貴には関係ない」

「……へぇー‥だったら、俺達兄弟もそういうスキンシップするか?」

「‥は?──っ!!」

兄貴はそう言ったのと同時に、俺の肩に腕を廻してきた。

「な、何やってんだよ!?」

「お前は密着するのが好きらしいから、兄貴の俺がベタベタしてやろうかと思ってさ?」

「そんな趣味ねぇよ!!」

兄貴は俺の頬に手を添えてくるとその頬を撫で始めた。当然、兄貴にそんな事をされても気味が悪いだけの俺は抵抗した。

「残念だねぇ?せっかく久しぶりにコミュニケーションでも取ろうと思ったのに」

「て、てめぇ‥今、どの口がぼざいたんだ!?そんな気もサラサラねぇくせに!!」

「…‥」

「バーーカ!!行こうぜ?龍」

「…‥あ、あー」

そう言って俺は龍の手を引いて兄貴から離れた。


──そう。兄貴が寂しそうな顔をしていたのも気付かずに…

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あきゅろす。
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