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ブラザーに愛をこめて
04

あーあ。ったくもうっ!
兄貴って、本当に過干渉過ぎるんだよなぁー。
俺もう高2なんだから、ほっといてくれればいいのにっ!!
ズカズカと足幅広く歩きながら、トイレから出てくると兄貴への不満を口にしていた。

「あーーーっ!ムカつく!」

「――何がムカつくんだ?」

「っ!?」


おっと…。
心臓が止まるかと思った。
だって、返って来るはずのない第三者の答えが戻ってきたからだ。
もし兄貴だったら、土下座ものだと少しばかり覚悟した。

しかし、


「あんたって、よく叫んでるな?1人で叫ぶ趣味があるのか」

「あ。く、倉橋クン!?…って、そんなわけないだろうっ!」

「あっそ」


そこに立っていたのは、龍のクラスメートの倉橋クンだった。

龍が休んだ時に、声をかけてくれて以来、倉橋クンとは廊下とか職員室とかでもたまに会うようになった。っていうか、俺が今まで倉橋クンを知らなかったんだから気付くはずもないか?
倉橋クンの方は俺を知ってたみたいだけど。

「ていうか、倉橋クンはどうしてここにいるの?」

ここは特別、高校生の出入りを禁止にしているわけではないけど大学生の校舎の為、なかなかここに来る人は少ないのだ。
そんな中、倉橋クンは大学のトイレ付近に堂々と腰を下ろしていた。意外と神経が図太い倉橋クンに思わず首を傾げた。


「俺の女がいるから?」

「なして疑問系?…あぁそっかぁ〜、彼女か」

「まぁ、そんなとこ」

そう言って、少し長めの髪を倉橋クンは掻きあげるとポケットに手を突っ込んだ。そんな仕草も様になっていた。
だけどそう思っていたとこで、みんなとお昼を食べていたことに気付き、慌てて裏庭に戻ろうと足を向けた。


「――じゃあ、俺待ってる奴らがいるから一足お先にな!」

「あぁ」

「じゃあまた、龍のクラスで!」

「…‥あぁ」


ダッシュで戻った。

そのすぐ後、俺と入れ違いに倉橋クンの彼女が来たらしい。






「翔太遅いよぉ!!」

「わりーわりー龍。つい、のんびりと話し込んじゃって」

「誰とだよ?」

龍は待ちくたびれと言わんばかりに腕を組み、足はガクガクと貧乏揺すりをしていた。
後ろの方でもみんながお待ちしていたようだ。兄貴なんて、龍同様に機嫌が悪い。

なんか…監視されてるみたいで、思わず顔が引きつった。

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