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『も、基くんどこまで行くの…』
「……」
近くの公園で掴みっぱなしだった腕をはなし立ち止まった。
「さっきの…続きを聞かせて」
『続き…?』
「基くんが…っての」
俺の言葉に名前をどうぞの瞳は揺れる。俺の心拍数も僅かに上がる。
「彼氏をつくったのは……俺が原因なの?」
『ち、ちが…』
否定しながらも目をそらした名前をどうぞに淡い期待を抱く。
「じゃあ…何?俺が…って、何?」
黙ったまま、俯いている。
しばらく待てば、びっくりしたが少しだけ期待もしていたその言葉が聞こえてきた。
『私、……基くんが好きだった』
「……」
正直嬉しくて言葉につまる。
『幼稚園の時』
「…へ、ぇ?」
しかし予想外な言葉を付け足されておもわず間抜けな声がでた。
ああ……幼稚園ね。……幼稚園……。
『中学生の時も』
「……」
待て待て待て。落ち着け俺。
激しく振り回され頭が混乱してきた。
『ヨシの事もあるから仲良くしてくれてただけかもしれないけど。それでも…特別仲良くしてくれたから、少しだけ、淡い期待もしてた』
まあ確かに、仲良かった。
なにかとちょっかいだしたりだされたり。チャマ同様に特別だったのは間違いない。
『ヨシより、お兄さんみたいに頼りにしてたとこもあるけどね、私は……ずっと基くんが好きだった…』
泣きそうな、苦しそうな表情に心拍数があがる。
『だから……彼女ができたって知った時は、すごく悲しくて…』
「……でも、お前あの時たしかおめでとうって」
『言ったよ。悲しいのは私の気持ちだけでしょ?基くん達にはおめでとうでしょ?大事な人なら祝ってあげたいじゃない』
「……」
今になってわかった。
あの時、コイツの目が少しだけ腫れてた理由が。
夜更かし、だなんて笑ってたのは嘘だったのか。
『彼女がいてもいなくても、私との関係が変わらなかったから…それだけがせめてもの救いだった。初めはやっぱり辛かったけどね、基くんが、幸せならこのままでもいいと少し思えたの』
「……で、彼氏をつくったの?」
『……うん。でも、やっぱり彼氏が一番になる事はなくて…気づけばいつもフラれてた』
そーいえば、そうだった。
告白されるのは名前をどうぞなのに、いつもフラれるのも名前をどうぞで。
俺は、自分勝手な奴等に少しだけ腹をたてては別れてくれた事に感謝したりしていた。
『何年も、その繰り返し』
悲しそうに笑う名前をどうぞ。ごめんね、と小さく謝られた。
「なんで、謝んだよ」
見つめあってる瞳が不安そうにゆらゆらと揺れる。
『……今も、好きだから』
未練がましくて笑っちゃうでしょ?
そう言って泣きそうな顔で笑う彼女を
おもいっきり抱き締めた。
遠回り
昔の行動が、正しかったのか間違っていたのか、そんな事はわからない。
でも、間違いなく今ここで選択する道はわかった。
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