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スタジオに入ると先に来ていたチャマが何かを真剣な顔でみていた。
「おはよう、何みてんの?」
「あ、藤くんおはよー!コレね、名前をどうぞが撮った写真載ってるからつい買っちゃった」
「へーえ、俺にも後でみせて」
「うん、いいよー」
嬉しそうにそう話すチャマ。
この兄妹はお互いの活躍にたいしてまるで自分の事のようにいつも嬉しそうだ。
「あ、ヒロ、秀ちゃんおはよー!」
「おはよー」
「おはよう。あ、チャマ、さっきくる時名前をどうぞに会ったよ」
「え、そうなの?なんで…あぁそうか、今日か見合い」
秀ちゃんの言葉に一瞬首を傾げたチャマだったけど、そーだそーだと思いだしたように頷く。
見合い…今日なんか。
「ちょっとお洒落しちゃってたぜ」
「そうなのー?俺起きたらもういなかったから、今日見てないんだよねー。荷物だけまとめて置いてあったから、なんかスゲー切ない気分だったよ」
俺も見たかったなーと羨ましがるチャマ。どんだけ名前をどうぞ好きなんだよお前は。
まあその気持ちわかるけどな、俺も見たかった。
とゆーか行かせたくなかった。
「荷物?」
「そう、あの子明後日引っ越しだから」
「…あ、そっか、住む場所決まったんだっけか」
「なんかバタバタだな」
名前をどうぞがチャマの家にいたのは約3ヶ月、一時的なものだとは知っていたが…そっか、じゃあもうチャマの家に行っても会えるわけじゃねーのか。
「どこにしゅ、…住むの?」
「それはねえ……ふふふ」
噛みながらのヒロの質問にニヤリとするチャマ。
「なんと…ヒロのマンションの向かいのマンションなんでーす!」
「え?マジで!?」
「意外な場所だったな!!」
まさかの近さに驚きながら笑うヒロ。
向かいのって…あのマンションか。
「良かったなヒロ、1人飲みが淋しかったら名前をどうぞ誘えるぞ」
「あ、そっか。便利だなアイツ」
「ちょっと、ものみたいな言い方やめてくんない、俺の片われに!」
「はは、ごめんごめん」
手伝いついでに皆で引っ越し祝いしよーね、なんて笑うチャマ。
いいなーヒロ、名前をどうぞにすぐ会える距離かぁ。
「……」
「……」
「……」
「……え?なに?」
いきなり、固まったままこっちを見る三人。
「今のはそーゆう意味?」
「えー、考えすぎじゃね?」
「俺は確実にそーゆう意味だと捉えたけど」
なにやらこそこそ話しはじめる。
え、なになに?
俺仲間外れ?
「藤くん?ねえもしかして………」
「……なに。もしかして、なに??」
ヒロが若干聞きにくそうにしてるのを待っていれば、升をチラリと見る。
ヒロと目があった升は、俺が!?と苦笑しながら驚いた。
「藤くんさぁ、もしかして…」
「……」
「や…あの、いいなーって、どーゆう意味で?」
「……ん?」
「名前をどうぞとすぐ会える距離でいいなー、って…」
え…声にでてたんか…マジか。
「…そのままの、意味?
名前をどうぞにすぐ会えるとか…お前らとすぐ会えるとか、なんかいいじゃん?だから、いいなーって。まあ皆遠いわけでもないけどさ」
升の質問におもわず誤魔化すような答えを選ぶ。
納得いったようないかないような、そんな表情のメンバーに微笑むと歌録りの為にブース内へと足を運んだ。
…なんか絶対ェ納得してねーな。
そんな視線をガラス越しに感じる。
まあチャマは納得してる感じだけど。
ったく…今更そんな事聞くなよな。
俺が名前をどうぞを可愛がってるのなんて昔からじゃねーか。
改めて聞かれると答える方も困るっつーか照れるわ。
名前をどうぞの事を少しだけ、思い浮かべれば胸にはジンワリと温かなモノが広がった。
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