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「ねー、そういえば名前をどうぞ今日何時に帰ってくんのー?」

「ん、たしか7時すぎとか言ってたけど」


漫画を読んでいたヒロが、思い出したようにここの家主でもあるチャマに尋ねた。

久しぶりにチャマの家に遊びにきている俺ら。

そんなメンバーに嫌な顔ひとつせず
ご飯を振る舞ってくれる為台所に立っていたチャマが時計を見ながら答えた。



小学校は違えど、幼稚園からずっと幼なじみでもある俺ら4人は、気付けばまもなく30歳になる。

いまだこんな風に一緒にいられるなんて、幸せの極みっつーかなんつーか。

恵まれてるなぁとつくづく感じる時がある。



「…もう1時間以上過ぎてんな」

「だね」


同じように時計を見た俺がボソリと呟けば、チャマは頷きながら眉間にシワを寄せた。




「名前をどうぞったら、夜遊びだなんて…お母さんそんな子に育てた覚えはないわよ!」

「全くだ。母さんワシちょっと下まで見てくるよ」

「お願いねお父さん!」


子芝居を交えつつ、チャマの藤くんよろしこーの声を背中に受け玄関まで歩いていく。

ノブに手をかけようとした時、ガチャリとドアが開いてドンっと何かにぶつかった。



「うお、」

『っ…!』


少し息をきらしている待ち人…名前をどうぞはビックリしたらしく鼻をさすりながら目をパチクリさせている。


「大丈夫か?」

『ご、ごめん勢いよく入ったもんだから…』



苦笑する彼女につられふっと小さく笑ってしまった。
結構鼻痛そうな勢いだったぞ…?




「…あ、遅かったから由文母さん怒ってるぜ?」

『いやー、仕事きりがいいとこまでと思ってたら長引いちゃって』

「まずは父さんに言う事あるんじゃないのかね?」

『ふふ、そうでした。お父さん遅くなってごめんね。ただいま』


自分の中で微妙に続いている子芝居に、彼女はすんなり入り込んでくる。



「お疲れ様、おかえり」


そう返すと、あの頃から変わらない笑顔でニッコリと笑った。




もう1人の幼馴染み




「あ、おかえり名前をどうぞ!ご飯できたぜーぃ!」

『わあ、さすがヨシママ!美味しそう!』

「でしょ!気合いいれたんだから!」

『じゃあ後片付けは私やるからね』

「うんお願ーい」


「(仲良いな、ほんと)」




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あきゅろす。
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