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「だいたい…伝わった?」

『ん、んー…うん』



マンションまでの道を、ゆっくり歩く。

俺の話を聞いていた名前をどうぞは、コクりと小さく頷いた。



『……喜んで、いいの?』

「ん?」

『今度は本当に…期待して、いいんだよね?』


恥ずかしそうに、不安そうに、そう尋ねてくる彼女。
ああ大人びたなと思う半面昔から変わらないその雰囲気に、おもわず笑みがこぼれた。




「そりゃ勿論」


手を差し出せば遠慮がちに繋がれる。

ちゃんと繋ぐなんて、幼稚園以来か?


感覚は覚えてないはずなのに、ひどく懐かしい。




『……なんか、幼稚園の頃みたい』

「よく繋いでたよな」

『なんでだっけ?』

「わっかんね。とりあえずつれ回した記憶はある」



ふふっと嬉しそうに小さく笑った名前をどうぞ。

ごめん、本当は少し覚えてる…っつーか思い出したんだ。
でもさすがに言えねーよ。いつも名前をどうぞがチャマにくっついてたのが気に食わなかったからとか…俺恥ずかしすぎるだろ。




「皆に…特にチャマになんて言おうかな」

『……そうだね』

「新しい弟です、て言うか」

『ふふ、気が早い』


すいません、ひとり突っ走ってました。でも…きっと今更この手を離すなんて無理な事なんだよ。


ようやく手に入れたんだぜ?絶対離さねーぞって自信はあるんだ。

アイツら同様、名前をどうぞの存在を無くすなんて無理だから。





『でも…そうなったらいいな』




見たこともない幸せそうな顔で、そう笑った彼女の顔はきっと一生忘れられないだろう。




二人で今を刻もう




「……え?今なんて?」

「だから、お付き合いさせてもらう事になりましたって」

「……待って待って!1から説明して!?」

「さっき説明したじゃねーか」

「ワンモアプリーズ!!」




「チャマパニクってるよ?」

『あー…うん。しばらくすれば落ち着くんじゃないかな』

「それより…よかったな、やっと結ばれて」

『…え、秀ちゃん気づいてたの…?』

「いや、昔ね、なんとなくそう思った時期があったからさ。でもまさか今もとは思わなかったけど」

「すげーな秀ちゃん。俺尊敬するわ。昔なんて全く気付かなかったわ」

『大丈夫、ヨシも気付かなかった』





〜end〜 2010.4.12


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