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ありがとな。




ピンポーン。


インターホンが響く。
あぁ、了くんとバクラくんが迎えに来たんだ。


『はーい!』

と、返事をしてテーブルに置いてあるカバンを持って靴をはく。
お母さんに行って来ます、というのも忘れずに家を出た。


「よし、じゃあ行こうか。」
『うん。』
「ケッ。」


バクラくんは朝私に起こされるのが嫌みたいで機嫌が悪い。了くんもそれを知ってるハズなのに毎日毎日私に起こさせようとする。
なんでかなぁ、もう。


「あー!!ボク忘れ物しちゃった。」
『え?』
「だから、バクラと梓ちゃんさ、"2人で"先に行ってて。」
『ちょ、了くん!』
「宿主!」


私とバクラくんの制止も聞かずに、バイバーイと女の子顔負けのニコニコ笑顔で爽やかに去って行った。(そっち家じゃなくて学校!)

取り残された私とバクラくん。
チラリとバクラくんの横顔を伺うとバチッと目が合った。
少しドキッとしたのは秘密だ。



『んと、とりあえず学校行こっか。』
「…」

問いかけには無反応だけど私が少し歩き出すと数歩遅れて後をついて来てくれた。良かった。


バクラくんの言動一つ一つが気になるのはヤッパリ私がバクラくんのことを好きだからだろうか。
好きな人に嫌われるのは、悲しくて、怖くて、辛い。
でも、だからこそ






「梓。」
『な、に?』


久し振りに名前、呼んでくれた。
クルリと振り返るとそっぽを向いて頬をかいているバクラくん。
可愛いな。


「朝は怒鳴って悪かったな。」
『バクラくん…』


ビックリした。
こんな風に彼が謝るのは初めてだし、嫌われてると思ったから尚更だ。


「いつも起こしてくれてよ、…その、」
『…』


ありがとな。
そう言った瞬間彼は私を追い越した。(耳、真っ赤)


些細なことでこんなにも幸せに成れる。私はこんなにも、あなたが好き。



2009.03.25.修正

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