小ネタ 訳アリ遅刻(83/大学パロ) 「よ、遅刻なんて珍しいじゃん?」 「悟浄。」 午後最初の英語の授業。 出席点目当てに来てはいるものの、内容なんてさっぱり頭に入ってこない。誰もが欠伸を噛み殺し、ぼんやりと過ごしている。 そんな退屈な空気を、今日は意外な人物がぶち壊したのだ。 『Sorry,I'm late.』 嫌味なくらい綺麗な発音で挨拶しつつ教室に入ってきたのは、悪友の猪八戒。 優等生が服着て歩いているような奴が、何故必修授業に遅刻などしたのか。 まぁ授業の最後に出席カードを出せば良いだけだし、遅刻でも何でも来た方が良いに決まっているが…… 「ちょっと寝坊しただけですよ。」 「お前が寝坊?」 ぶっちゃけ、信じられない。 「まぁ百歩譲って寝坊だったとしても、だ。三蔵サマまで寝坊するとは思えねぇな。」 そう。八戒が来た数分後、今度は三蔵が入ってきたのだ。 寝起きは悪そうな三蔵だが、出席重視の授業には案外ちゃんと来る。やはり遅刻しそうには見えない。 「お前らが揃って遅刻なんざ、偶然にしても有り得なさすぎるんだよ。」 「はぁ、そう言われましても。」 「何?実は一緒に寝てたとか?」 同じベッドで寝ていて、アラーム設定を忘れて二人とも遅刻。 大学生のカップルがやる分には、なかなか微笑ましい話ではあるが。 「良いなそれ!」 「いくら何でもねーよ!」 いくら美人とはいえ、相手がムサい野郎同士では寒いギャグにしかならない。 クラスの男子達もそう思ったのだろう。腹を抱えて笑いだした。 流石の八戒も笑っているかと思い、そちらを見てみると。 「あはは……」 何故か、乾いた笑みを浮かべていた。 ───スパーン! 「っ痛ぇ!」 「八戒、そこは一応否定しておけ。」 「えー。貴方が僕のモノじゃないなんて、嘘でも言うの嫌ですよ。」 「だったら言わなくて良いようにしろ。」 「善処します。」 唐突に現れた三蔵サマは俺をハリセンで殴った後、八戒と信じがたい会話を始めた。 マジ、かよ…? 悪友達の予想外な関係を知ってしまった昼過ぎ。 既に興味を失っているクラスメイトがそれに気づくわけもなく、俺は独りため息をつくしかなかった。 【END】 * * * リアルに先日あった話(笑) 意味もなく萌えたじゃないかどうしてくれる…!!← 2009/11/20 季茶 BackNext |