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小ネタ
長めのブレイクタイム(83/大学生塾講師パロ)

「お先に失礼します。」
「「お疲れ様でしたー。」」



高時給だから、と悟浄に薦められるままに始めてしまった塾講師のバイト。
新人故に来る度に雑事を押し付けられ、正直疲れ気味だ。



「遅くなっちゃったなぁ。」



本当は、今日初めて喋った同い年の講師と一緒に帰りたかった。



『さんぞー!この人も大学1年の八戒先生!この前算数教えてもらった!』
『分かったから黙って宿題やれ!……あー、玄奘三蔵だ。よろしく。』
『あ、猪八戒です。よろしくお願いします。』



数時間前の会話が蘇る。
これを機に知り合いが作れるかと思っていたのに、僕は授業後採点作業を命じられてしまって。
だから玄奘先生と生徒がギャーギャー騒ぎながら勉強しているのを、横目に見ることしか出来なかった。


あれだけ生徒に慕われているのだ。悪い人なわけがない。
しかも生徒と同レベルで騒いでいる様子は微笑ましいというか、可愛らしい。
指導が終わった瞬間教務室を出て行ってしまった彼を見ながら、そう思った。


って、可愛らしい?!
何を考えているんだ、僕は。相当疲れたのか…?


まぁ、その内また会えるだろう。
とりあえず、今日は早く帰って寝ようかな。
そんなことを考えつつ、更衣室の扉を開く。




「おい。ノックくらいしろよ。」



「え?」


中には何故か。


「玄奘先生…?」
「そうだが。終わるのに随分かかったな。」
「えーと、30分前には出ていきましたよね?」
「あぁ、煙草吸っててな。」
「塾内は禁煙ですよ!?」
「気にすんな。」


彼は1つ背伸びをすると、立ち上がった。


「さて、帰るか。」
「はぁ。」
「ん?行かないのか?」
「行きますよ!」


彼の後について、慌てて更衣室を出て。
出口までの、僅かな距離を一緒に歩く。


「あのー。」
「ん?」
「良かったら、これから一緒に食事でもしません?僕ここで同い年の人に会ったの初めてなんですよ。」
「奇遇だな、俺もだ。」


そう言って、目を細める彼。
分かりにくいけれど、とても優しい表情。
少し、ドキッとした。


「良い店あるのか?」
「任せて下さい。」


だから、僕なりに最高級の笑顔を返して。
出口で規定の挨拶をするため、彼と同時に立ち止まる。




「「お先に失礼します。」」




さぁ、彼をどこに連れて行こうか。



【END】




‥‥‥‥‥‥‥
私自身が個別指導塾でバイトを始めて、3が8を更衣室で待ってたら萌えるなぁとふと思ったんです(何)
因みにうちの塾は、教務室の入退室時や帰宅時などの挨拶が義務です。
けじめつけると生徒の成績上がるんだってさ。本当かよ。

短編のとかとは違う大学生パロですね。38っぽいのは仕様です←
ほら3も喋りたかったんだよ!てか8何気にナンパじゃね?(笑)

現実?こんなことあるわけないじゃないか(…)



2009/7/20 季茶

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