Sloping Road 5
「……そうですね。」
三蔵から視線を外し、窓の外を見る。
相変わらず、外は闇に包まれている。
なのに、さっきほど苦しくない。
「でも、人生だって坂道ばかりとは限らないんじゃないですか?」
「………フン。」
僕の言葉を聞いて、彼は微かに笑った。
ねぇ、三蔵。
確かに人生って、坂道を上るように辛いのかもしれません。
でも。
終わりのない坂道なんて、ないはずだから。
これからも、ちゃんと自力で進んでいきます。
自分が誇れるだけの強さで。
貴方に置いていかれないように。
そして貴方に甘えてもらえるくらいの、信頼を勝ち取ってみせますから。
それまで僕が、坂から転がり落ちないように。
見守っていてくれますか?
どうやら僕に必要なのは、あなたの存在そのものみたいだから。
月だけではなくて───
再び窓の外を見たとき、僕は目を見開いた。
それは。
雲から解き放された満月が、暗闇で輝いていたから。
【END?】
.
BackNext
無料HPエムペ!