Dear my...(3) この一件以降、僕は彼と徐々に親しくなっていった。 だからあまり知らなかった彼のことも、段々分かるようになった。 彼はとにかく天才肌。何でも出来て、犯すミスも建設的なものばかりで。 同い年とはいえ、憧れの存在だった。 ‥‥‥‥‥‥ 数年後、僕達は大学に残り研究を続けていた。 教授にこき使われる生活を送りながら、彼はある理論を提唱しようとする。 新しすぎるその理論は、いくら説明しても日本で認められることはなくて。 サポートとして横にいた僕は、ただ悔しかった。 何度目の学会の後だっただろうか。 珍しく彼が居酒屋に行くと言い出し、浴びるように呑み出した。 「三蔵、気持ちは分かりますがそれくらいにしないと明日辛いですよ?」 「……るせぇ。」 「あぁもう、完全に目据わってるし……」 「惨めなもんだな。他人に理論の1つも認めさせられず、酒に走るなんざ。」 「三蔵…?」 下を向いたまま、呟くように言う。 弱音を吐く姿は、今まで見たことがなくて。 少し驚いた。 . BackNext |