White lie 2 「………で?俺に何の用?」 「……………」 「って無視かよ!呼んだのそっちだろ!」 住み慣れてきたこの街の、行きつけの酒場。 隣にはかなりデキあがってる金髪超絶美人。 ただし、男。 ・・・・・・ 俺の家に三蔵が来たのは、つい先刻のこと。 扉を開けると、いつも以上に不機嫌オーラを放つコイツがいた。 『珍しいじゃん。三蔵サマがウチに来るなんて。』 『……るせぇ。』 『何?八戒なら帰ってねぇけど。』 『……付き合え。』 『は?』 『酒場だ。』 『お前が酒場?また珍しい。』 『黙れ。行くぞ。』 『えー嫌。なんかお前機嫌悪そうだしぃ……愛しの八戒はどうしたのよ?アイツなら酒いくらでもOKっしょ。』 『……………』 あれ? 俺なんか地雷踏んだ…? 『わぁーったよ。ご一緒させてイタダキマス。』 『………フン。』 それからここに来て一時間弱。結局状況が掴めていない。 たっぷり酔わせてやったから、いい加減そろそろ分かるだろう。 早く言わねぇと……俺の理性が保たないぜ?三蔵サマ。 ・・・・・・ 「ふ、フラれたぁ!?」 更に一時間後。 知らされたのは、衝撃の事実だった。 「何でまた……」 「俺とアイツは住む世界が違うから、幸せになれないんだそうだ。」 ……幸せって何よ。幸せって。 どうせアイツのことだ。1人で悩んでて自信でもなくしたんだろう。 自分では三蔵を幸せに出来ない、と。 「勝手に1人で片付けやがって…!」 「同感。ほんっとアイツって変なとこ馬鹿だよな。」 同意してみせながらも、心の中では笑いが止まらなかった。 八戒お前、気づいてなかったのか? 俺が三蔵をそういう目で見ていたこと。 そして。 手を出さなかったのは、お前が三蔵の隣に居たからだってこと。 「よし、今夜はとことん飲め!奢ってやるよ。」 「あぁ。」 ここぞとばかりに、優しさアピール。 傷心につけ込むのは主義に反するから、とりあえずは話を聞くだけ。少しずつ少しずつ罠にかけて、やがては身動きが取れないように…… するはず、だった。 . BackNext |