Masquerade 3 ・・・ 「すみません、三蔵……」 「謝るなら加減しろ。ったく……」 翌朝、腰痛で三蔵が動けなくなったため出発は延期。 悟浄は悟空を連れて、食事兼遊びに出かけたらしい。 僕らの関係に気づいているだろうに何も言わないのは、彼なりの優しさだろうか。 僕は看病というか護衛というか、とにかく部屋に残っている。 仮に一人でいたとしても、三蔵が刺客にやられるとは考えにくいが。 「……昼になったら起こせ。」 「はい、お風呂も準備しときますね。」 反対側を向き、すぐ寝息をたてて眠ってしまう三蔵。 僕は湯呑みのお茶をじっと見つめながら、考えにふけり始めた。 何時からだっただろうか。 冷めた関係であるはすの彼を、愛しく思い始めたのは。 理由もなく触れたくなったり、キスしたくなったりするようになったのは。 この気持ちが何なのか分からないほど、子供ではない。 だからその想いに気づいたとき、永遠に封印することに決めた。 僕は愛した人すら守れない、愚かな男だ。 更に妖怪に身を堕とすほどの、犯罪者。 その上彼は、皆を導く最高僧。 僕など一緒に居るだけで、奇跡みたいなものだ。 それ以前に………彼はいくら美しくても男。 完璧すぎるほどの、叶わぬ恋。 つくづく幸が薄いと言わざるを得ないかもしれない。 「三蔵。」 呼び掛けても反応しないほど、熟睡している彼。 そんな無防備に眠るなんて、相当疲れてるんですか? それとも……僕を信用してるんですか? 『お前は俺を裏切らない。そうだな?』 あのときも思いましたけど、ちょっと信用しすぎなんじゃないですか? もちろん、裏切るつもりなんてないですけど。 . BackNext |