Masquerade 2 ・・・ 「はぁ……はぁ……」 雨の降る真夜中、僕は夢にうなされて目覚めた。 汗で体にまとわりつくシャツが、その恐ろしさを物語っている。 「もう、大丈夫だと思ったのにな……」 窓の外を眺めながら、呟いた。 「眠れねぇのか?」 不意に、隣のベッドから聞こえた声。 驚いたが表情には出さずに、軽く笑顔を作りながらそちらを向く。 「えぇ、まぁ。……起こしちゃいました?」 「別に。」 煙草を取り出しながら、無愛想に答える三蔵。 ライターを手にしたが、カチカチいうばかりでつかないようだ。 「チッ」 舌打ちしてライターと煙草を放り出した三蔵は、こちらを向いた。 「付き合ってやる。」 「え?」 「ヤらせてやるよ。」 そう言いながら、シャツを脱ぎ捨てる三蔵。 「でも……」 「文句あるのか?」 濡れた目で挑戦的に見つめられれば、理性など吹き飛ぶ。 そのまま僕らは、冷たい情事に身を投げた。 もう何度こうして、躰を重ねてきたのだろう。 最初の行為は、旅の途中初めて同室になったとき。 雨で不安で、飲みすぎた三蔵が誘ってきたのがきっかけだった。 悪夢にうなされるのを防ぐため。互いの心の隙間を埋めるため。 そこには愛などなく、ある意味セフレよりたちが悪い。 雨の度に繰り返される僕らの関係は、そんな冷めきったものだった。 その、はずだった。 . BackNext |