[通常モード] [URL送信]
Loneliness Of Vain Egoist 2

夏の終わり頃。
冷たい雨の中、俺はアイツの家に向かっていた。
正確には、アイツが居候している家だが。

仕事をサボる口実としてそこを訪問してから、どれほどの時が経ったのか。
今ではすっかり通い慣れてしまったこの道とも、今日でお別れだ。

これから、俺とアイツとのこの関係を終わらせるつもりだから。



・・・・・





「三蔵…!」

俺が家の戸を叩くと、アイツは少し驚いた顔で出てきた。

「どうしたんですか?珍しいですね。」
「別に……」

不意の訪問にも関わらず、すぐに笑顔になる八戒。
「掃除してませんけど」なんて言いながら、中に招き入れてくる。

相変わらずの狭い部屋。
ここにコイツの恋人として来るのも、これが最後になるのだろう。

「にしても、お久しぶりですね。」
「………あぁ。」

どのように、話を切り出せば良いのか。
言葉を探すうちに、アイツは俺に近づいてきた。

「具合、悪いんですか?」
「……あ?」
「貴方にしては、歯切れが悪い気がして。」


苦笑するアイツ。


「………変わらないな。」
「はい?」


俺を気遣うその優しさも。
俺の強がる癖も。
この関係になった頃、そのまま。



.

BackNext

2/5ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!