ヴァンガイ甘フリー4
「俺もシャワーを浴びてくる」
現実に戻ってきた頭が、下半身の気持ち悪さをガイにはっきりと自覚させた
ヴァンの手を解き、裸足のまま立ち上がった。辺りに散乱する衣服を拾い上げた。しかしその中に目的のシャツは無かった。このベッドに辿り着く前にいつの間にか脱がされていたのだ。盛り上がって我を忘れていた事を思い出しガイは赤面した
「借りるぜ」
仕方無くヴァンのシャツを羽織ると裸足のまま歩を進めた
「そんなに目立つのか?」
背後から聞こえた声に引き留められた。ヴァンは額に掛かる髪をかきあげた
「俺が気になるんだよ。やってる時もお前を見てたら……もしかして苦しいんじゃないかってな」
近寄って眉間の皺を何回かさするとヴァンはくすぐったそうに目をを細めた
「杞憂だ。私は抱きたいから抱いている。私は貴公を不安がらせる程不躾な真似をしていたか……」
「そうじゃない。俺はお前が幸せでいてもらいたいんだ」
ヴァンは瞳を見開いた。そして嬉しそうに笑った。膝立ちでベッドに乗り上げたガイを正面から腕を回し、逃げられない程度の力を込めて抱き締めたーだぶつくシャツを当たり前のように纏ってくれたガイに愛しさを込めてー
「私は今幸せを感じているが」
ヴァンの柔らかい笑みにガイは自分の中のヴァンへの想いが大きくなるのを感じた
「そうか。でも……」
「うん?」
「今よりもっと幸せになってくれ」
「!」
「命令だ。幸せになれ」
「よくわからない命令だが……了解した」
胸に薄灰色の髪がすり寄った。ガイが下を向くと頭しか見えなかったが、きっと予想通りの表情をしているヴァンに微笑みかけ、髪に指を差し込んでグシャグシャにした
「俺がずっと、側にいてお前が幸せになれるよう見届けてやるさ」
反撃は溶けるようなキスで、シャワーを浴びて休む筈の2人の熱を醒ましあった
「第2ラウンド開始していいか」
「受けて立ってやるよ。待たせた詫びもかねてな」
ガイは立ち上がり今度こそ洗面所に向かった。足を床につけた瞬間足先が宙に浮いた
「このままで。いいか?」
「いいけど」
「待たされた事は気にしなくていい」
ヴァンはガイの音機関の調整の為汚れが残っていた指先を口を含んだ。慌てて手を引くこうとすると、手首を掴まれたまま吸われた
「汚いぞ」
「音機関に熱中する貴公ごと全部愛している。こうやって褒美が貰えるなら待つのも楽しみだ。その間どうやって喘がせてやるかじっくり考えられるしな」
「……んっ」
首筋をなぞる唇にガイの体は再点火した
腕を回してヴァンの体を引き寄せた。下半身を弄る手が欲情を加速させた
このまま脱がさない気か。なんか嬉しそうだな、変態め。まあいいや。お前の好きにすればいいさ。何をしても、どれだけ馬鹿でも頑固でも俺はお前の主でいるよ
虫の声が聞こえた。開け放たれた窓から夜風と共に流れてくる草原の匂い。俺は二番目の故郷を知らない。共に過ごしていたかもしれない故郷を模したこの二番目の故郷が、俺とお前の帰る場所だと思ってもいいだろうか。
激しい突き上げに言葉が続かない
「っぁ……ずっと側にいてくれよ…」
返事は無い。いっそう強くなる揺さぶりにガイの意識が朦朧とした。霞んでくる意識の中ヴァンの答えを聞いた
「『主に忠誠を、親に孝行を、友人に愛を』……ホドの騎士道だ。私は随分前からガイラルディアに全てを捧げているのだがな」
ぐったりとしたガイの中でひときわ暴れた後ヴァンが出て行った
「幸せにしてくれ」
end
捏造でホドで二人で暮らす生活
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2008/06/25 4万感謝フリーSS
このSSは、この企画を見て頂いた全ての方へ感謝を込めて捧げます
閲覧ありがとうございました
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