アッシュ
 一瞬入ってきたことを後悔した


 「あう・・アッシュ・・!?」

 「ここには来るなといったはずだぞ。アッシュ」

 「ヴァン!やめろ!」

 「んァ・・うっ・・ああ!」

 背後から座位で抱きかかえられその中心には深々とヴァンをくわえ込んでいた
 部屋には凄惨な淫行を物語るように精の臭いが充満し、ガイの身体はどちらのものとも分からぬ白濁に塗れていた



 『閣下!アッシュなんかに奪われないでくださいよ』
 『アッシュ!何やってるの!早く悪人(←注:兄)から愛しい人を助けだしなさいよ!』


 ガイの部屋から中庭を隔てた塔の一室に二人の声がこだまする
 ヴァンにのぞき穴を開けていたことを発覚され、ティアは隣の塔に移された
 望遠鏡で見ているが、声が聞こえない。二人はアッシュに取り付けた遠隔集音器で音を拾っている。多少雑音が入るので後は読唇術で補った
 二人とも将来とビジネスがかかっている、完璧だ



 初めてみたガイの痴態に頭が真っ白になっていたアッシュだが、ティアの怨念のような声が聞こえたせいで我に返った

 (ここで引き返せるわけねえ)



 『教官、約束ですよ。アッシュが兄からガイを奪えたら三人とも解放してくれるって』
 『二言はない。私が閣下を説き伏せるわ』
 『ありがとうございます』
 『まるで勝てるような口ぶりね。私は閣下が負けるわけないと確信しているから約束したのよ』
 『いいえ。アッシュが勝ちます。いえ・・勝たせてみせます』
 『言うようになったわね。閣下の愛は本物よ。』
 『アッシュだって(多分)そうです』
 『フフフ・・勝負ねティア!』(閣下、信用していますよ!(←何を))
 『はい!教官』(アッシュ負けたら貴方の明日はないわ)

二人の間に火花が散った



 腰の剣に手をかける。ガイを揺さぶるヴァンを睨み、攻撃の態勢に入った

 「ガイを離せ」
 「無粋だなアッシュ。ガイラルディア様は私との情事を楽しんでおられる。・・それともアッシュ・・お前も混ざりたいのか」

 ガイの膝裏に腕を通し上にあげた。結合部がアッシュに丸見えになりガイは羞恥に震えた

 「ヴァン・・やめ・・ろ。アッシュ、見るな・・」
 「お前に見られて興奮されたようだ。・・きつく閉めすぎですよ、ガイラルディア様」

 涙が流れる頬に唇がおりた



 『3P・・・閣下・・・それでもいいわ』
 『教官、それでは勝負になりません』
 『いいのではではなくて?ガイを早くいかせたほうが勝ちにしましょう』
 『イヤです(勝負が目にみえてるわ)』


 「・・!、ふざけるな!ガイは泣いている。離せ!」
 「お前には関係ない。下がれアッシュ」
 「関係なくなんかねえ!ガイは俺の、俺の・・・・・・・」
 「やっ・・ひ・・あっあっあっああァァアア!」

 アッシュの声はガイの矯正にかき消された


 『アッシュ!男でしょ!はっきりしなさい』
 『所詮アッシュはこの程度ね。諦めなさい、ティア』
 『いえ、教官(多分)これからです!』


 己の精を放ち、ヴァンの精を受け止めて、体力の限界がきてガイはヴァンの腕に倒れ込んだ
 ガイの中にはまだヴァン自身が埋め込まれている。解放する気はないらしい

 「放せヴァン・・俺は・・お前の所には・・っ」
 「そしてここにアッシュを咥えると?」
 「ヴァン・・何を言っているんだ」
 「ガイ・・何をいっても無駄だ。こいつの意志の固さはしっているだろう。こいつを止めるには戦うしかねえんだよ!こっちに来い!ガイ!」
 「アッシュ・・お前」
 「俺はもうヴァンと戦う決意をしている。この世界も、ガイお前も、俺は救いたい。過去に捕われるなよ」
 「アッシュ」

 「はっ!」

 アッシュが剣を抜いてヴァンに切りかかかる。ガイを抱いたままヴァンは傍らの剣を片手で抜き受け流した

 剣戟が重なる

 何度切り結んでも軽く受け流される


 「ちィっ」

 決定打を浴びせることができずにアッシュは焦り始めた

 (奴は片手だけなのに、強い!その上ガイも離す気がない、くそっ!)

 「どうしたアッシュ。ナイト気取りで現れた割りには手も足も出ないな」

 「うるせえ!騎士を解雇されたお前なんかにいわれる筋合いは無い!」

 アッシュは渾身の力を込めて剣を叩きつけた


 金属がぶつかり合ういやな音がしてヴァンの剣がアッシュの剣をなぎ払った。

 「うわっ」

 立ち上がり剣を両手で持った

 「少し相手をしてやろう」


 『教官、アッシュがやりそうです』
 『閣下の痛い所を突いたわね。狙ってついたわけではないけど、閣下も子供ね』
 『悪人がガイを離したわ!チャンスよアッシュ!男をみせてよ(ドキドキ)』
 『閣下は悪人なのね・・』


 「ぐあっ!」

 アッシュの剣はあっけなく手から離れ床に落ちた

 「もう終わりか」

 「くそっ」

 床に臥すアッシュにヴァンが歩み寄る

 (ちくしょう・・)


 剣の重なる音に顔を上げれば、ガイがアッシュの剣でヴァンと切り結んでいた

 「ガイラルディア様」

 力の抜けた体を奮い立たせているのだろう腕が小刻みに痙攣している

 「ガイ!」

 「何してんだ、早く動け!」

 『なんだかいい展開ですよ、教官』
 『いいのよ、障害のある愛のほうが閣下は燃えられるのよ』
 『そこまでタフではないと思いますけど』
 『それにしても、扇情的な格好ね〜』
 (アッシュ大丈夫かな)




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あきゅろす。
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