番外)MUTI
 コンコン

 「失礼いたします。ガイ・セシルです」
 控えめにノックの音がした
 「入れ」

 扉を開けて中に入ると部屋の主はソファーに寛ぎ、ブランデーを飲んでいた

 ガイはこの部屋があまり好きではなかった

 他国を侵略した時の戦利品や勲章が己を誇示するかのように飾られている


 「御用を承りに参りました」

 「ウム。では、こちらに来なさい」

 「はい・・」

 ガイはいつもと違う雰囲気の主人に些か警戒した
 (何もミスなどしてないはずだよな)

 「ルーク達の様子はどうだ」

 「はい。ルーク様方は真面目に勉学にも武術にも励まれておられます」

 「そうか・・お前はルーク達とは上手くやっているのか」

 「?はい。とてもよくしていただいています」

 (何故“お前“なんだろう。ルーク様のことを聞きたいんじゃないのか?)

 「ガイ、ここへ来なさい」

 そういって自分の膝の上を指した

 「え・・?そのような失礼なことは・・」

 「よいから来なさい」

 「は・・い。失礼します」

 ガイはおずおずと主人の膝の上に丁度椅子に座るような形で背をむけて座った

 (何なんだ)

 言いようの無い不安感に包まれた

 (用を済ませて早く部屋に帰りたいな・・)



 背後から手が伸びガイの服の中に潜り込んできた
 大きな無骨な手がガイの素肌を弄り乳首を掴んできた

 「旦那様!?」

 「やわらかいな」

 誰にも触れられたことの無い小さな突起をきゅとひねった

 「・・つっ!」

 もう片方の手がファスナーを開けズボンの中に進入しガイ自身を撫で始めた

 「何を・・されるのですか?」

 素肌を弄る未知の感覚に戸惑う

 「おとなしくしていなさい」

 恐ろしさにぎゅっと目を瞑るガイをみて、クリムゾンは目を細めた
 微かに震える体を愛しそうに愛撫する

 「いい子だ」

 ごつごつとした大きな手が他人の肌を知らない無垢な体を這い回る
 おぞましさに鳥肌が立ってきた

 胸の突起を引っ張り、こねくりまわすと次第にピンクのやわらかい乳首がぴんと立ち上がり始めた

 「・・あ・・?」

 初めての感覚に目が潤む
 ガイ自身を優しく揉み解すように擦られ逃げ腰になった

 「や・・やめてください」

 ガイの手がクリムゾンの手を押しのけた

 とたんに手が止まる

 「うわっ」

 クリムゾンは急に立ち上がりガイを部屋の中央にある柱まで引っ張るとシャツを剥ぎ取り柱に抱きつかせて両手首を縛った

 「旦那様・・!?」

 驚愕するガイを一瞥すると、クリムゾンはベッド脇に置いていた乗馬用の鞭を手に取った

 「今から反抗することは一切許さない」

 ヒュンッ

 「つあっ!」

 剥き出しの背中に鞭が飛んだ
 激痛が走り息ができない

 「ひぐっ!」

 ようやく酸素を吸ったところに二、三度続けて打たれた

 「や、やめ・・あぐっ!」

 懇願の言葉を吐けば更に容赦なく鞭が飛んだ
 震える足に力を入れることができなくなり、柱にもたれてずるずると床に座り込んだ頃ようやくクリムゾンの手が止まった

 「口答えするなといった筈だ。返事は」

 「ひっ・・く・・は、い・・。」

 涙でぐしゃぐしゃになった顔はいっそうクリムゾンの嗜虐心をあおった
 戒めを解いてベッドへ歩かせた

 「服を脱いで横になりなさい」

 ノロノロと着ているものを全て脱ぎベッドに横になった。鞭で打たれた背中がシーツに触ると擦れて痛みが走り苦痛に顔をゆがめた

 恐怖と痛みと恥ずかしさと悔しさにガイの瞳から涙が溢れた

 覆いかぶさってくる影に圧し掛かられガイは諦めて目を閉じた




 「ガイを知らないか?」

 朝一番に自分に挨拶にくる幼馴染の使用人が今日は朝食の時間になっても未だ顔を見せない

 おかげで寝起きの悪い双子の片割れを今日は自分が起こす羽目になって朝から気分が悪い

 (ガイの顔をみたいな)

 日にすける金糸と柔らかい空の色の瞳で笑いかけられたら、それだけで一日が幸せにすごせるのだ

 「ガイまだかよー」

 片割れも文句をたれ始めた。こういう時は息がぴったりなのが嬉しい

 「ガイは今日は旦那様の諸用で夕刻まで外出するそうです」

 給仕のメイドが答えてくれた

 「えー!本気かよ。今日は三人で剣舞の稽古をするっていってたんだぞ。父上もしってるはずなのに!」

 「おかしいな。その為にわざわざ他の用事を開けてこの日に決めていたのに。そんなに大事な用なのか?」

 「よくは分かりませんが、急な用事だそうです。」

 「ちぇーっ、くそ。おもしろくねー!」

 「父上の用事なら仕方ないだろう」

 「しゃーねー。今日は二人で練習するか」

 「こっちの台詞だ」

 (早く帰ってこいよ、ガイ。今日はなんだかお前の顔がやたらとみたいんだ)

 アッシュとルークは陽光の中を駆け出した













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あきゅろす。
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