Snatch成長後編BL(完結)
8可愛い甥っ子
◇◇◇
実家に行った翌日、創立記念日で学校が休みらしく、午前中から蒼介がやってきた。
テツもいるから、2人はソファーに座ってお喋りしている。
「なあテツ、俺、テツみたいになりてぇ」
俺は片付けと飲み物を用意する為にシンク前に立っているが、それとなく聞き耳を立てていたら、蒼介が怪しげな事を言い出した。
「ヤクザか? 」
「ううん、違う」
「じゃ、なんだ? 」
「バイになりてぇ」
やっぱりそれだ。
「あのな〜、まだ中学生だろ、そんな話、はえーわ」
テツは相手にしてない。
「俺、もう童貞じゃねぇから」
しかし、耳がピクリと反応した。
中一で童貞じゃねぇって、テツの初体験に迫る勢いじゃないか。
「はあ〜、こら、もう女に手ぇだしたのか、このマセガキが、おめぇ、ちゃんと避妊したんだろうな? 」
テツは呆れながらも、きっちり聞いている。
「わかってるって、ゴムつけた」
蒼介は当たり前のような顔をしてさらっと答えた。
「そうか、それなら……、よくねぇ、コノヤロー、そんなのは中一でやらなくていい、まったくよ〜火野とはえらい違いだな、誰に似てそんなにマセてるんだ? 」
テツが抱く疑問は右に同じだ。
「俺は俺、誰にも似てねぇ、あのさ、だから〜バイになるにはまず男を口説かなきゃならねぇよな? なあテツ、経験豊富なんだからコツを教えて」
蒼介は俺よりも、経験豊富なテツに教えを乞うつもりらしい。
「コツって……、そんなもん知らなくていい、それよりな、真面目に勉強しろ」
だが、テツは教える気がなさそうだ。
「勉強はやってる、なあ、じゃあさ〜叔父貴貸してくんない? 」
蒼介は正面切ってテツに頼んだが、マズいような気がする。
「なんだよ、そりゃどういう事だ? 」
だけど、テツはピンと来ないらしい。
まさか蒼介がそんな事を考えているとは、予想がつかないんだろう。
「俺と友也叔父さんは〜身内だし、練習させて」
なのに、蒼介は言ってしまった。
「なっ……、なに〜? こいつ〜、この……、こっちに来い」
テツは立ち上がって蒼介の傍に行き、腕を掴んで広い床のスペースへ引きずり出した。
「わあ〜っ! いてて、やめろ」
大柄な蒼介をもろともせず、プロレス技をかけている。
「卍固めをおみまいしてやる」
「あ"ーっ! いてぇ、叔父さん、助けて〜」
蒼介は前のめりになって救いを求めてきた。
まぁ〜はっきり言って、そんな事を頼む蒼介が間抜けだと思うが、一応とめなきゃマズいだろう。
「ちょっと〜、テツ、やめなって、蒼介は可愛い甥っ子なんだからさ〜」
「おい蒼介、馬鹿な事を考えるな、わかったか? 」
テツは技をかけつつ蒼介に聞いた。
「うっ、うん、わかった、ギブ、ギブアップ〜」
蒼介はあっさり降参した。
「よし、ったくよ〜、なにを言うかと思や、ろくでもねぇ事を考えやがって」
テツはぶつくさ言って蒼介から手を引いた。
「ふー、痛かった〜、テツ、ムキになってやるから」
蒼介は肩を擦りながら床に座り込んでいる。
中学生といえば食べ盛りだ。
ここはピザでも食わせておとなしくさせるのがいい。
「蒼介、なんか食いてぇか? 食いたきゃピザをチンしてやるぞ」
「うん、食う」
蒼介は笑顔で頷く。
「そうか、わかった」
中学生らしい仕草を見たら、ホッとひと安心だ。
「ん、電話か」
テツの携帯が鳴った。
『ああ俺だ』
『ん、そうか……、 押さえた物は回収しろ、時効延長の手続きもだ、弁護士に聞いてやれ、そっちに誰かいるか? 』
『わかった、じゃ俺が行く、待ってろ』
テツの声しか聞こえないが、どうやら借金絡みの話らしい。
「友也、俺はちょっと出てくる」
「うん、わかった」
ピザをオーブントースターに入れて返事をした。
「テツ、出かけるんだ」
蒼介は足を伸ばして床に座り、リラックスしまくって言った。
「ああ、いつもの事だ」
俺が答える間に、テツは手早く用意を済ませた。
服は着替えていたので、大きな封書を出して手に持ち、そのまま玄関に向かう。
すかさず見送りに行った。
「帰りはいつになるかわからねぇ」
帰宅時間がわからないのもいつもの事だ。
「うん、気をつけて」
テツを見送る時は、とにかく揉め事に巻き込まれない事を祈ってる。
「ああ、お前も浮気するなよ」
テツは靴を履くと、俺の肩を叩いて毎度お馴染みな台詞を言ったが、蒼介がいるからチューは無しだ。
「わかってるって」
「んじゃ、行ってくるわ」
返事をしたら、ドアを開けて外に出て行った。
すぐさまキッチンへ戻り、ピザの焼け具合を確かめた。
「おーじーさん、へっへー」
蒼介がカウンターに肘をついて覗き込み、悪戯っぽい笑みを浮かべている。
「じきにピザが焼けるから、ちょっと待ってろ」
早いとこ餌を与えた方がいい。
「刺青、約束したよな〜、見せて」
蒼介は刺青の事を言ってソファーへ歩いて行った。
「ん、ああ、あとでな」
ピザが焼けたので、取り出して皿に移した。
ジュースをコップにつぎ、両手にそれぞれを持ってテーブルに運んだ。
「どうぞ」
「サンキュー」
蒼介は早速ピザにがっついている。
ガタイがいいから腹が減るんだろう。
けど、ガタイがいいなら何かしたらいい。
「なあ、蒼介」
「ん〜? 」
「部活とかしたらどうだ? 」
真面目にスポーツをやればいい線いきそうだ。
「やだ、みんなでちちくりあって仲良くスポーツとか、超うぜーもん」
しかし、ひねくれた事を言う。
「友達はいるんだろ? 」
蒼介がどんな学校生活を送ってるのか、いくら隣同士でも、そこまではわからない。
「ああ、奴隷ならいるよ」
すると、なんだか妙な言い方をする。
「奴隷って……、どういう意味だ? 」
「そのまんまだよ、パシリとも言う」
「お前……、学校で何やってんだ? 」
ひょっとして、番長にでもなってるんじゃ……。
「なんにも〜、中学になっていきなり文句つけてきた奴らがいたんだ、で、放課後に校舎の裏に呼び出されて、俺の事生意気だって言う、俺はそんなつもりはねぇのに、そいつら苛立ってた、で、言い合いになって……、殴ってきたから、防御しようと思って腕を振ったら〜、そいつの顔面に当たった、たったそんだけなのに、そいつ、後ろにぶっ倒れた、そいつの仲間が慌てたような顔をしたけど、俺に襲いかかってきた、だからやり返しただけ、向こうは5人いたけど〜5分でケリがついた、んで、そいつらは〜急に下手に出て謝った、それからパシリになったんだ」
やっぱり番長だった……。
つか、腕っぷしつえー。
俺は蒼介が赤ん坊の時に、いじめられたらどうしようとか、真剣に心配した事があったが、完全に取り越し苦労に終わった。
「お前、それって番長じゃねぇの? 」
「番長〜? なにそれ、そんなだせぇ真似しねぇよ、そいつらが勝手に従ってんじゃん」
本人は無自覚らしいが、そいつらはそう思ってるだろう。
そりゃ、いじめられるよりはマシだけど、初体験は済ませるわ、番長にはなるわ……。
『にーに』って言って、超可愛かった蒼介は……もうここにはいない。
相当やんちゃだったから、それからしたらこうなってもおかしくはないが、成長して嬉しい反面、失うものも結構ある。
「ふう〜、食った食った、じゃ、叔父さん、刺青〜」
蒼介はあっという間にピザを平らげ、ジュースを一気飲みして言ってきた。
「わかったよ、ちょい待って」
ジャージを脱がなきゃならない。
下着は着ない主義だから、上を脱いだら肌が露出する。
テーブルとソファーの間に立って蒼介に背中を向けた。
「はい、どうぞ」
「おお〜、やっぱいい」
蒼介は高揚したように言うと、近くにやってきた。
「この刺青、好きなのか? 」
鷹を褒められるのは気分がいい。
「うん、超カッコイイ、これって誰が決めたの? 」
「テツだ」
「やっぱセンスいいわ、なあ、痛かった? 」
「ああ、最初の筋彫りん時が痛い」
「そっかー、俺も大人になったら入れてぇな」
「やめた方がいい、刺青なんか入ってたら、カタギとは思われないし、海やプール、サウナに銭湯……気軽に行けなくなる、ほら、竜治さんっているだろ? 」
「ああ、浮島組のゴッツイ人? 」
「そう、竜治さんは全身入れてる、手首や足首まで、だから夏場でも半袖着られねぇし、首だってネクタイ着用だ、夏場は汗かかねぇから辛いらしい」
「え〜すげー、知らなかった、なあ何入れてるんだ? 」
「毘沙門天だ」
「ふーん、よく分かんねぇ、龍か虎ならわかるけど」
「多分神様だ、縁起担ぎの意味があるらしい」
「そっかー、なあ、叔父さんさ、他にも見た事あるんじゃね? だってヤクザと付き合い長いし〜」
「ああ、ある、浮島の若頭は青鬼で、あの人も全身刺青だ、あとは……霧島の親父さんは生首、亡くなったけど、柳田って人は弁財天だった、あとは龍や虎かな、忘れてたが、ケビンもジョーカーを入れてる」
「へえー、やっぱ色々見てんだ、いいな〜」
蒼介はやたら羨ましがって背中を撫で回す。
「ちょっ……くすぐってぇ」
「ちゃんと感覚はあるんだ」
「そりゃ、感覚はあるよ」
「ふーん……そっかー」
「え……」
何か変な感触がする。
「叔父さんってさ、肌綺麗だよな」
「あっ、こら……」
おかしいと思って振り返ったら、背中に唇をあてている。
ソファーに手をついて避けた。
「いいじゃん、にーに」
蒼介は背中に抱きついて懐かしい事を言った。
「あ……、それ」
「俺はにーにって呼んでた、それは覚えてるよ、にーに、俺はにーにの事……好きだよ」
久々に聞いたらくるものがあったが、こんな事しちゃ駄目だ。
「蒼介、俺とお前は親戚だぞ、なにしてるんだ、離れろ」
「親戚だからって、何がいけないんだ? むしろ……仲良くする方がいいじゃん」
なのに言うことを聞かず、思いっきりハグして胸板を撫で回し、背中にキスしまくる。
「ちょっと〜真面目に聞け、お前はまだ中一だぞ、変に色気づいてるが、こんな事をしちゃ駄目な年だ」
発育がいいからそっちも早熟なんだろうが、まだ13歳だ。
「もうやっちゃったもん、相手は年上のお姉さん、いつも立ち寄るコンビニの店員、そのお姉さんさ、胸デカいし、スタイルいい、だからさ、前からよく見てた、そしたらある日誘ってきたんだ、店の裏に行ってそこでやった、すげーエロいんだ、チンコしゃぶってくるし〜、もう何回もやったよ、今の叔父さんみたいな体勢でバックからはめたりもした、女の人はさ、こうやって乳首摘むと感じる、なあ、叔父さんはどう? やっぱ感じる? 」
蒼介は赤裸々な事を暴露して、両方の乳首を摘んできた。
「だめだ、やめろって……」
退かしたくて体を揺さぶっても、体重があるからびくともしない。
「やべぇ、興奮する、やっぱりさ、男でも勃つよ、ほら」
「ちょっ、こら、やめろ」
藻掻いていたらケツにチンコを押し付けてきた。
布越しだが、硬い感触がリアルに伝わってくる。
「なあ、友也……、やってみてぇ、アナルやらせて、初体験は叔父さんがいい」
蒼介は俺を呼び捨てにして背中を舐め回す。
乳首は指でグ二グ二やられてるし、生暖かな舌が背中を這い回ると、腰の辺りがぞくりとしてヤバい感じになってきた。
「蒼介、こんな事したら……テツが怒り狂うぞ」
蒼介を相手になに感じてるのか……相手は甥っ子でたかが中学生だ。
「乳首、勃ってる、やっぱり勃つんだな、にーに、俺、にーにを抱きたい、1回でいいからやらせて」
今度は『にーに』を連呼して我儘を言う。
「そ、そんな……甘えても無駄だ」
ソファーの背もたれを掴み、片膝をソファーに乗せて斜め前に逃げようとした。
「へへーんだ」
すると、ケツがズルっと剥かれた。
「わっ、なにして……! よせって」
「う、わ……、エロ〜、ケツがすげー綺麗」
蒼介は俺を抱く腕を緩めてケツを眺めているが、そんなところをべた褒めされるのは恥ずかしいし、アレがバレてしまう。
「ちょっ、離せ〜、マセガキーっ! 」
闇雲にジタバタしたが、さすがは腕っぷしが強いだけはある。
力負けして逃げられない。
「あ"ーっ! こんなとこにも刺青ある〜」
見つかった……。
「こら〜、見るなっ!」
「あっ……テツって彫ってある……、とー矢の模様……、これって……テツの名前に矢吹の矢? 」
そんなのは見られたくなかったが、遂にバレた。
「叔父さん……、テツの名前を彫ってるんだ」
なんだか知らないが急にテンションが変わり、真面目な声で言った。
「ああ、若い時に彫った」
バレたのなら、隠しても仕方がない。
「そんなに……テツの事が好きなんだ」
ん? やけに暗い声になった。
「ああ、好きだ」
「そっか……、ごめん」
質問に答えたら、蒼介はすっと身を引いて謝ってきた。
「あ、ああ……」
一体どうしたのかさっぱりだが、とりあえずズボンとパンツを引き上げて、トレーナーを頭から被った。
前に向き直ったら、蒼介は大人しく向かい側に座っている。
「俺さ、叔父さんとテツが仲いいのはよく知ってる、でも男だし、構わないかって軽く考えてた、だけど……名前を彫るって、男女でもそんな事しない、テツはさっき浮気するなって言った、あれは本気なんだな、俺、悪かった」
ケツのタトゥーでおとなしくなるとは思わなかったが、そんな風に思ってくれて助かった。
「いや……、わかればいい」
蒼介は反省したらしく、その後再び襲ってくる事はなかったが、これでバイになりたいっていうのも無しにしてくれたらいいのに……。
今その事について触れるのはやぶ蛇になりそうだから、今日のところは黙っていた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!