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美しい虎に噛み付く



「っは、くそ…ッ、」


息を切らし、廊下を走る。
背後から複数の足音が追い掛けて来ている。このままじゃキリがないと、近くの窓を開けてそこから飛び降りた。
二階から飛び降りた衝撃は結構なもので足が痺れ、若干捻った。


「あーもう!めんどくせえ!」


痺れて痛む足をバンッと叩いて、その場から離れる。が目の前から現れた人物に顔が引き攣った。


「みぃつけたあ、」

「げ、」

「なぁんで、逃げるのかなあ?」


近付いたそいつに手を取られ、そのまま抱き上げられた。


「っおま、降ろせって!」

「だめえ。美香サン待ってるし」


もう駄目だ、逃げられないと諦めて抵抗をやめた。

今俺を抱えているのはひとつ下の後輩で名前は武虎。武士に虎と書いて、むこと呼ぶ。
コイツの言った美香さんというのは俺のひとつ上の先輩で、俺は美香さんの…奴隷?
さっき追い掛けて来ていたのは美香さん信者。武虎も信者だけど、美香さんに一番信頼されている。


「美香サン、おまたー」


美香さんの待つ空き教室に連れて行かれ、美香さんの目の前に雑に落とされた。


「案外早かったな」

「リスお馬鹿だから、二階から飛び降りて足捻ってんの」


リスと呼ばれる俺の名前は利助。古臭い名前だと、よくからかわれる。


「アホか、お前」

「うっさい」

「それよりお前、オレの財布から金盗んだな?」

「知らねえ」


本当は五千円拝借したけど。お札が五千円しか入ってなかった美香さんの財布はもうほとんどからっぽだろう。


「お前はなんで、すぐにバレる嘘をつくんだ?」

「いや嘘じゃねえし」


美香さんから顔をそらすと、武虎に捻った足を思いっきり握られ、床に転がる。


「いッ、い、いてえッ、やめろ、このっ、馬鹿…!!」


捻っていない方の足で武虎を思いっきり蹴飛ばす。


「いったあ!美香サン!お仕置きしよ!お仕置き!」

「そうだな。武虎、リス運べ。連れて帰るぞ」

「はいはぁい!」


どうせ抵抗したって意味ないし、大人しく武虎の腕の中に収まる。
これからされるであろう事を想像して、鳥肌が立った。





―――――



先輩×主人公×後輩
美香さんは学校一帯を掌握している不良。その片腕の武虎。
と何故か気に入られちゃった主人公利助。
別の学校の頭がリスにちょっかい出して、美香さんと武虎がぶちギレとか。



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