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消えた心残りと、



出会った相手は敵の男。
その男におれは憧れた。

身体が弱くろくに学校さえ行かなかったおれは、その自分自身に親に反抗したくて夜遊びを始めた。
一番勢力のある不良のグループのいるたまり場に頻繁に行き、下っ端の人間と仲良くなった。

そんなある日、たまり場に行けば、敵対しているグループが来ていた。なんだと思っていれば、しばらく協力するらしい。
近頃、調子にのった下の方のグループが見境なしに襲ってくるという。そいつらを潰すために一時的に協力すると。

敵対しているグループをまとめている男はそれはもう美形で、誰もが惹かれるような姿をしていた。いやおれ達をまとめている人も同じくらい美形で惹かれるが、おれは敵の男に惹かれた。

話し掛けてみたい。
そう思った。
でもその男の周りにはいつも人がいて、話し掛けるタイミングなどなかった。


協力し始めて、たまり場には敵の奴らも出入りして、もちろんその男も。仲の良い奴に男の名前を聞けば、エルだと言われた。
本名ではない。基本こういう所ではあだ名だ。おれもセンというあだ名で通っている。

たぶん年上、いや確実に年上。
ここにいる奴らはほとんどが高校生。その中でおれは中学生。その事は言っていないから高校生だと思われている。顔もそんなに幼く見えないらしく疑われた事はない。バレたら追い出されるだろう。
高校生以上というのが、暗黙のルールになっているから。


エルを目線で追っていれば、たまり場である倉庫を一人で出て行った。話し掛けるチャンスだと、そのあとを追った。
エルは倉庫の陰でタバコを吸っていた。


「…あの、」

「あ?なんだ?」

「…えっと、」


なんて言えばいいのか分からず、悩んでいたら手招きされた。


「お前名前は?」

「…セン、です」

「センな、よし覚えた。俺の名前は、」

「知ってます」

「だよなあ」


笑って紫煙を吐き出すエルは暗い闇夜でもかっこよかった。


「で、センは俺に何か用?」

「あ、いや…ただ話がしたくて」

「話ぃ?何の」


何の、と言われたら困る。
ただ本当に話がしたかっただけなのだから。特別な理由はない。


「特に、ないんですけど…、おれ、エルさんに憧れてて」

「敵のチームなのに?」

「いや、おれ入ってないんで」

「は?」


エルさんの視線がこちらに向く。
エルさんの目におれが映っている事に何だか嬉しくなった。


「入ってねえの?」

「はい。ただ遊びに来てるだけっていうか…」





―――――



ていうか…、中途半端すぎる
数ヶ月前に書いて放置してたのであげてみた。
不良と中学生が好き過ぎる。



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