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短編




「お前それ、確実じゃねぇかよ」


屋上で会長と二人
九条先輩とあった事を話すと、会長は嬉しそうに笑った。


「何が確実なんですか。ただ、からかってるだけとか…」


自分で言っておいて悲しくなった。でも、そう思わないと駄目なんだ…期待するから。


「伊織がからかうはずない。それはお前だって分かってるだろ」


そりゃあ、九条先輩の性格からして気持ちをからかうような事はしない。まぁこの前会った時は、鼻血の事をからかわれたんだけど…


「それは、分かってますけど…。俺は…」


駄目なんだって


「じれったいな、お前ら。明らかに両想いじゃねぇかよ!さっさと告れ」

「嫌ですよ!」


貴恵が泣いてしまう。兄として、それは嫌だ。この気持ちが伝わらないとしても、それは我慢する。


「何でだよ!」

「てか会長は何でそんなに気にするんですか!」


会長には全く関係ないのに。ただ九条先輩の幼なじみっていうだけ


「オレみたいになってほしくねぇから」

「は?」


そう言った会長はほんの少し辛そうな顔をしていた。


「もしかして会長って好きな人、いるんですか…?」

「いる。もう何年も片想いしてる。だけど、きっと叶わねぇよ、オレの場合はな」

「どうしてですか」

「そういう運命だから。よく言うだろ、禁断の恋とか…無理なんだよ、好きになっちゃいけねぇ人をオレは好きになったんだよ」


笑う会長は今までに見た事ないくらい儚い姿だった。


「でも、お前らは両想いだろ。まだ気持ちを伝えていないだけ」

「……」

「貴恵の事なんか気にする必要なんてねぇんだよ、どうせ貴恵はフラれるんだから。だから告れ」

「…会長は告白しないんですか」

「はあ!?」


だってずるい。俺ばっかり言われて、それなら会長だってその好きな人に告白するべきだ。


「無理だって言ってるだろ!お前らみてぇに両想いじゃねぇんだよ!側にいられなくなるだろ!」

「本当に無理、なんですか…?」

「無理だ。それに相手には、恋人がいる」


恋人って…
それはかなり辛いんじゃないだろうか。人の恋を応援してる場合じゃないだろ。


「…すみません、無神経な事言って」

「いや平気だ。会う度に恋人といちゃつくあの人よりはマシだ」


会長は笑っていた。
どうして笑えるんだろう。絶対辛いのに。


「だから、お前らには幸せになってほしいんだよ。約一名不幸になるけどな」


貴恵の事ですよね…


「たぶん貴恵は本気で好きなんじゃない。勘違いしてるだけだ」


あぁ、確かに貴恵ならありえる。貴恵は好きの意味を履き違えている。


「頑張れよ、兎喜」

「…はい」


思わず返事をしてしまった。

この想いを大好きなあの人へ、伝えてもいいんだろうか?本当は伝えたい。勇気はあまりないけど、会長が応援してくれている。
だから、頑張らなければ

ごめん、貴恵。俺はお前を傷付けるかもしれない。
それでも伝えたい



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