短編 2 今日もまた図書館でぼーっとしていれば、中関さんが来た。 が、その隣には男。 「隼麻くん、」 「ども」 「こっちは僕の友達の、長谷川」 長谷川と紹介されたその人は、カッコイイと言われる部類の人だ。 「えっと、隼麻くんだっけ?よろしく」 「…ども」 向かい側に座る中関さんと何故か長谷川さんは俺の隣に座る。 「長谷川は僕の趣味知ってる唯一の友達なんだ。だから、隼麻くんにも会わせたくて」 「…それだけ?」 「それと、隼麻くんの彼氏候補にどうかなって」 最悪だ。俺は観察対象から抜け出せないらしい。 「最低だよな、コイツ。自分の趣味のために友達売るんだぜ」 本当最低だ。でも、いい。 いい、望んでないから。 「お似合いだと思うんだよね。隼麻くんと長谷川。長谷川、中学生オッケーでしょ?」 「駄目じゃねぇけど。なに、無理矢理付き合わせようとしてんだよ。隼麻くんが可哀相だろ」 「隼麻くんどう?」 「どうって言われても…」 困る。俺にどうしろと。 あんたは俺と長谷川さんが付き合う事を望んでいるのか。 「友達なら、いいけど…」 「だって!よかったね長谷川」 「お前な…」 「期待してるからね。早く友達以上になるの」 その言葉に思わず、立ち上がる。 「隼麻くん?」 「帰る。…用事、あるから」 それだけ言い、その場から去る。 用事なんてない。 もう、図書館にもいたくなくなるじゃないか。居場所がまたひとつ消える。兄貴が羨ましい。好きな相手といる事が出来て。 図書館を出た所で後ろから呼び止められる。それは長谷川さんで、苦笑していた。 「なんですか」 「悪いなあの馬鹿が」 「いえ、別に」 「隼麻くん?」 「くんはいらないです」 「じゃあ、隼麻。お前アイツの事好きなんだろ?」 なんで気付くんだろう。 隠してるつもりなんだが。 「バレバレだったんすか」 「いや、なんとなく気付いた。初対面で何だけど、告白とかは?」 「しないですよ。恋人とか、よく分からないし…たぶん、深い関係になったら、イライラすると思うから」 今の関係がちょうどいい。 その線は越えてはいけない。 「そうか。隼麻がそれでいいならいいけど。オレが口出す事でもないからな」 長谷川さんはいい人みたいだ。 頭を下げて、長谷川さんに別れを告げた。 もう図書館行くのやめようかな 会わなきゃ、気持ちが膨らむ事もない。 . [前][次] [戻る] |