短編
智佳嫉妬
リクエスト
「まっきー、まっきー」
がばりと後ろから抱き着かれ、わしゃわしゃと頭を撫で回される。久世先輩に。
最近の昼休みは先輩達のクラスにお邪魔している。何故か久世先輩とかなり仲良くなってしまい、前までは安田先輩と呼んでいたのに今では名前で呼んでいる。
クラスの他の人達とも仲良くなりつつある。自分のクラスメイトとはあまり仲良くなれないのに、智佳のおかげで先輩達とは上手くやっている。
「なんすか」
「まっきー、髪伸びたよね。俺が切ってあげよっか?」
「いや、」
後ろから伸びて来た手に額の傷跡をぐりぐりと押される。痛くはないが、その部分だけ皮膚が薄いので、ぞわぞわと鳥肌が立つ。
「ちょっ、久世先輩、やめ、」
「まっきーかわいいー。俺が貰えばよかったなぁ」
久世先輩がそう言い終わった瞬間、前の席に座っていた智佳に腕を引かれた。結構強めに引かれたせいで、前のめりになる。腹に机が食い込む。
「い、痛いって、智佳、」
離せと目で訴えるが、離す様子はなく、俺じゃなく久世先輩を見ていた。というか、睨んでいる。
「そんなに睨まないでよ。ちょっと戯れてただけじゃん」
「万北に触るな」
「うわー、超嫉妬してるよ。まっきーどうする?」
俺に振らないでくれ…
久世先輩がやっと離れてくれたが、今度は俺が智佳に睨まれるはめになった。
「万北、」
「…なん、すか」
「何故拒まない」
「や、久世先輩だし…」
別にいいかななんて。
仮にも元恋人なんだから、そこまで嫉妬しなくてもいいだろう。
智佳から逃げるように視線をそらすとガシッと顎を掴まれ、机越しに口づけられた。
「んん…っ!?」
まさか人が、しかもクラスメイトが見ている場所でキスをされるとは思っていなかった。
「っや、め…、んっ、ぁ」
くちゅりと舌が入り込み、咥内を舐め回される。すぐ側にいる久世先輩が、わー激しーいと呟く声が微かに聞こえた。
いつまで経ってもやめない智佳に苛立ち、手を振りかざし思いっきり頬を叩いた。痛みのせいか、顔を歪めている智佳をもう一度ぶっ叩く。
「しねっ!ハゲ!!」
子供っぽい罵倒を言い放ち、三年の教室から逃げ出す。
人前でするとか、ありえねえ。
明日から行きづらくなるだろうがよ!マジで、ありえねえ…
バタバタと走って委員会の部屋に入る。誰もいない部屋で一息ついていれば、扉が開き、智佳が入って来た。追っかけて来てんじゃねえよと思ったが、たぶん久世先輩あたりが、追っかけろとでも言ったのだろう。
「万北、オレはハゲてないぞ」
「……」
最初の言葉がそれかよ。あんたがハゲてない事くらい、見りゃ分かるっつーの。
「…人前で、すんのやめろよ」
「…それはお前が久世といちゃつくから悪い」
「別に!いちゃついてねえし!」
思わず叫ぶ。
「あれくらい普通だろ!」
「普通じゃない。普通だとしても、お前は駄目だ。許さない。お前に触っていいのはオレだけだ。そうだろう?万北、」
手が伸び、先程久世先輩に触られた傷跡を智佳が触る。さっきの久世先輩とは触り方が違って、どことなくエロい触り方に背筋がぞわりとした。
「ち、か、そこあんま、触んな」
「誰も見てない」
「そう、だけど…」
性に関してはどちらかと言えば淡泊な智佳だが、意外と嫉妬深いらしい。
「万北、まきた、」
「な、に」
「やるぞ」
抵抗出来るわけもなく、その場で事に及んだ。
それから、智佳が嫉妬したあとのセックスは酷くねちっこい事が判明した。
勘弁してほしい、マジで。
―――――
嫉妬する智佳
という事で、元恋人の久世に頑張ってもらいました。智佳は嫉妬すると周りが見えなくなるタイプ
リクエストありがとうございましたー!
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