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短編
こういうのどう?
リクエスト



自分で言うのも何だが、旦那さんは俺にべた惚れだ。もちろん俺もだが。
前に旦那さんは何に萌えるか聞いた事がある。猫耳?制服?眼鏡?女装?そんな問いに旦那さんは、いやいやそんなもんには興味ないと言った。それにオレはお前の女装は好きじゃない、男のお前を好きになったんだと。その言葉を聞いて惚れ直したのは言うまでもないだろう。

俺のためだったら何でもやってくれる旦那さんに、何かご褒美をあげたい。思考が腐っている俺が考えたのは、


「……お前、何してる、」


旦那さんのパーカー一枚を着て、玄関で出迎える事だった。や、パンツは履いてるけど。
用事から帰って来た旦那さんは俺の姿を見て呆れていた。旦那さんの大きめの黒いパーカー。チャックを一番上まで締めてポケットに両手を突っ込み旦那さんを見る。


「どう?」

「何がだ」

「こういうのどう?」

「だから、何が」


心底ワケが分からんという顔をしている旦那さん。すたすたと俺を放置し、リビングへと向かう。若干つれない旦那さんの後を追い、俺もリビングへと向かった。
ソファーに座った旦那さんの目の前に立つ。


「で、お前は何でそんな格好をしてるんだ」

「いつも優しくてカッコイイ俺の旦那様にご褒美です」


ふうんと言った旦那さんに剥き出しの太股を鷲掴みされた。


「なに、もしかして毛剃った方がよかった?」

「何でそうなる」

「や、だって、」


太股を撫で回しておられるから、スベスベの方がいいかと思いまして。


「今だにお前の考えてる事が、分からん」

「旦那さんの事」


毎日毎日旦那さんの事ばっかり。
そりゃあ腐ってるし、オタクだから、アニメの事とかも考えてるけど一番は旦那さんだ。


「こういう格好したら旦那さん喜ぶかなーって」

「まあ、悪くない」

「癒された?」


聞くと旦那さんはくすりと笑う。


「そんな格好しなくても毎日癒されてる」

「……、」


初めて会った時から思ってたけど、何でこう旦那さんは恥ずかしいセリフをはっきり言えるんだろうか。恥ずかしげもなくこんな格好をしている俺が言うのもおかしいけど。


「お前、照れてんのか」

「…照れてます」


どうして旦那さんはこんなにカッコイイんだろう。かっこよすぎて、しんじゃう。

旦那さんの手が伸び、パーカーのチャックを一番下まで下げられた。腰を引き寄せられごつんと旦那さんの額と俺の額がぶつかった。


「する?」

「そういう展開になるの分かってて、んな格好してんだろ」

「…うん、まあ」


喰われるだろうなあとは思っていたけど。むしろ、そういう展開にならない方がおかしい。


「旦那さん、俺の事好き…?」

「ああ。好きだ、愛してる」

「俺も好き」


もう旦那さん以外は考えられない。旦那さん以上に好きになる相手はいないし、たぶんずっと、一生、旦那さんだけ。

ちゅ、と旦那さんの唇に軽くキスを落とす。


「あれだな、服を脱がす手間が省けるな。これは」


真面目に言う旦那さん。
果たして、それは今言うべき事だったんだろうか。いい雰囲気だったのが、台なしだよ旦那さん。


「…ばか、」













―――――



彼パーカー
ということで、奥さんは喜んで自らしそうだなと。
コイツは何をやってんだと思いつつ、旦那さん内心はかなり嬉しがってるはず。

リクエストありがとうございましたー!



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