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短編




一年前の入学式の日、隣に座っていた安達希絃という人に一目惚れした。隣に座る希絃の横顔を盗み見て、とても綺麗でカッコイイ人だと思った。

希絃とは同じクラスで、すぐに会えると思っていたけど、希絃は学校に来なかった。オレの後ろの席はいつも空いていて寂しかった。

結局、希絃が学校に来たのは入学式から一週間程経った時、
希絃はクラスで浮いていた。話しかけづらい雰囲気で、後ろの席なのにオレは全然話しかけられなかった。
話しかけたのは入学式から一ヶ月経った頃、放課後希絃が一人で教室にいて、やっとそこで話せた。

それで、告白した。好きだから付き合ってくれないか、と。お互いに何も知らないから、フラれるかと思っていたけど、希絃は頷いて了承してくれた。
それから、希絃とは約八ヶ月付き合った。んで、別れた。

人生で一番大好きな人。





―side.希絃



目の前で倒れた水。
その身体を抱き上げ、あまりの軽さに驚いた。
水をすぐに病院に連れて行き、治療を受けさせた。身体中、傷と痣だらけで、もっと早く助けに行けばよかったと後悔した。
水を知り合いに任せ、学園に戻る。あれを止めなければ、水は救えない。

初めて会ったのは入学式。
隣に座る水は、入学式だというのに緑色のパーカーを着ていて、なんだコイツと思った。
それが第一印象。
それからしばらくして学園に行けば、唐突に告られ、眉毛を八の字にして俺を見る緑色のそいつがなんとなく気になって、付き合う事にした。

付き合っていくうちに、だんだん好きになっていった。きいちゃん、と呼ぶ水が可愛く見えてきて、重症だと思った。
俺は束縛するのも、されるのも嫌いで、水にもそれを伝えていた。
だけど、いつだったか、水がクラスメイトと親しげに話していて、頭にきた。束縛は嫌いなはずなのに、水を誰にも触らせたくないと思う自分がいた。
そう思い始めた時、水が別れ話を持って来た。
俺を好き過ぎて束縛しちゃうから別れよう、なんて。それを聞いた時、俺も水と同じ状況だと。

束縛っていうのは、嬉しいもんだけど嫌なもん。俺にとっては嫌が大きくて、別れる事を選んだ。
好きなのに別れるって結構辛いもんなんだと、この時知った。
それで、別れても水の事がずっと忘れられなくて、気になるなら、今度は俺から告白してやろうと誓った。

なのに、俺が学園に行ってない少しの間に水はボロボロになっていた。水を触った奴らを全員、ぶっ殺してやりたい。

そう思うくらい、大事な奴。



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あきゅろす。
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