短編 出会い 「桂馬はっけーん!」 「っうわ、やべ!」 パンッと渇いた音が響き、太股に軽い痛み。 「よっし、桂馬重傷ー!」 「待て!」 最近、友達とエアガンで遊ぶのにハマっている。 家からチャリで5分程の所にある古墳でおれと友達の三人で遊んでいる。古墳っていっても、その周りの広場だけど。木がいっぱいあって撃ち合うには最適だ。 おれ達以外に人は滅多に来ないし、来るとしても犬の散歩とか。 日が暮れ始めた頃に帰るが、その日は友達の一人が早めに帰った。 二人でウロウロ歩いていると、友達が足を止めた。 「どうした?」 「何か変な人いる」 「どこー?」 友達が指差した方を見れば、古墳の案内図を見ている男の人がいた。スーツにサングラス、非常に怪しかった。 簡単に言ってしまえばホストみたいな人 「地元の人じゃないよな」 頷いてその男の人を見ると、まだ案内図を見ていた。 こんな片田舎でホストみたいな格好していたら、ガン見されるし、地元の人で案内図みる人なんかいない。 小学校の遠足は毎年ここだし。 「桂馬、」 「なんだよ」 ニヤニヤ笑うそいつに嫌な予感がした。 そいつはエアガンを案内図を見ている男の人に向けた。 「おい、やめろって」 「大丈夫だよ、ここからあそこまで届くわけねぇんだし」 確かに今おれ達がいる場所から案内図までは50メートル以上ある。だからエアガンの弾は届かないかもしれないが、もし届いてあの男の人に当たったらどうするんだ。 そんな事を思っていたら、隣からパンと音がした。 「おいっ!」 「やっべ!!バレた!」 は?バレた? 撃った本人はそそくさと走って逃げて行ってしまった。状況が理解出来ず、逃げ出した友達の後ろ姿を見えなくなるまで、眺めた。 バ、レた…?それって…まさか ばっと、男の人の方を見ると、こっちに向かって早足で来ていた。 「…まじかよ」 どうしようと辺りを見渡すが、誰もいない。テンパっていると男の人が目の前まで接近していた。 「おい坊主、」 「…は、はい」 顔を上げてその人を見ると、さっきまでかけていたサングラスを外しておれを見ていた。 スゲーカッコイイおっさんだ。 身長もおれより遥かにでかくて少し怖かった。 「さっき、撃っただろ」 「…いや、おれじゃなくて」 「ああ?」 「…っひ…!」 おっさんに睨まれて、身体がカチカチに固まる。手に持っていたエアガンをおっさんに奪われ、眉間に銃口を当てられた。 「本物だったらお前死んでるぞ」 そんな本物とか日本じゃありえねぇだろとか思っていたら、ガツンとエアガンで頭を叩かれた。 「〜っいたぁ!」 「聞いてんのか、糞餓鬼」 エアガンで頭をぐりぐりされ、思わずおっさんの腕を掴む。 「聞いてるっつーの!ぐりぐりすんな!」 「そんな口きくなんて、いい度胸してんなぁ?」 「すいませんでした」 またエアガンぐりぐりは阻止したく、おとなしく頭を下げた。 「いい子だ」 それが、出会い。 おれと譲さんの出会い . [前][次] [戻る] |