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短編
智佳痴漢



先輩と一緒に食堂に来た。
嫌になるほど混んでいたので、先輩と同じクラスの人達と相席。隣に先輩が座る。


「万北、何食べる?」

「あー、先輩は……っ、」


ぎろりと先輩を睨むと、先輩はいつもと変わらない表情で俺を見ていた。
太股を先輩の手が這う。止めようと先輩の手を掴もうとするが、その前に股間を撫でられた。


「…っ!」

「どうした?」


何事もないように聞く先輩に苛立つ。
変態、変態…!まじしね!


「…ふっ…、んッ」


声が出そうになり、前に座る先輩達に顔を見られないように俯き唇を噛む。


「ひな、まっきー具合悪そうじゃね?」


先輩はクラスメイトや友達からはだいたい、ひなと呼ばれている。
そして俺はまっきー。たぶん、安田先輩が広めた。


「そうなのか?万北」


しらばっくれるこの先輩をあとから一発殴ってもいいだろうか?
このままじゃ、本格的に身体がマズイ。俺の股を触る先輩の手を上から握り、先輩を見る。


「…ち、か…やめろよ…」


小声でそう言うが、止める気配はない。


「なんだって?」


先輩はわざとらしく顔を近付けてくる。
マジで殴ってやる。何なんだよマジ、嫌がらせかよ。嫌がらせだよな。


「…こういう、のは…部屋で、しろよ…!」


あくまで小声で叫ぶと、先輩が俺の二の腕を掴む。
分かってるっつーの、このあとの展開なんて。どうせ部屋に行こうとか言い出す…――


「じゃあ、部屋に行くか」


ほらな。今日は昼飯抜きか、おい。ふざけんなよ。
そう思ったが言うと、先輩が不良化するから、もう何も言わない。


先輩の友達に別れを告げて、先輩の部屋ではなく、委員会の部屋へと向かった。かなり不本意だが。つか、するなら先輩の部屋がよかった…何故委員会の部屋なんだ、ベッドなどないし、長机が並べて置いてあるだけだ。


「せんぱ…、智佳、せめて飯くらい食わせて」

「却下」


えー…
俺の意思は関係ないらしく、長机に上半身を押し付けられた。
ちょっ、この体勢はきつい…
机に胸を押し付けられているから、若干呼吸がしにくい。


「万北、」

「変態、あんた馬鹿だろ。場所考えろよ」

「ん?食堂の事か?それとも今か?」

「両方だッ!アホ!!」


肩越しに睨むと、先輩の手によってベルトを緩められズボンが床に落ちた。下着は太股で止まっている。


「っまじ、ふざけんなって…!」

「ふざけてはない。部屋でしろといったのは万北だろ?」

「俺が言ったのは、ここじゃなくて、先輩の部屋…ッひ!」

「先輩じゃない」


背中を腕で押さえつけられる。もう片方の手がケツの穴に触れて、びくりと身体が跳ねた。


「あんた、まさかさっきも先輩って呼んだから、痴漢みたいな事したんじゃ…」

「それもあるが、ただ単に痴漢したかった。万北がどんな顔するのかと思って」

「…まじしねよ……っ痛ぁ!」


ぐにと慣らしてもない穴に指が入って来て、顔が引き攣る。


「万北、お前は酷くされたいみたいだな?」

「ちげぇッ!…あ、ちょっ、動かす、なって…んっ…智佳、」

「どうしてほしい?」


どうって、出来れば止めて、飯が食いたい。だけど、それは却下されるだろう確実に。


「…このカッコは嫌なんすけど。あんたの顔が、見えねぇし…」

「それで?」

「キスが、してぇです」

「してぇですって変だぞ」

「ああもう、そんなのどうでもいいから、早く」


しろよ、と言えば先輩は俺の身体の向きを変え、机に座らせた。
下半身裸で座るって、どうなんだ…かなり恥ずかしい状況じゃね?


「万北、」


先輩はちゅっと俺の左目の傷にキスをして、そのままそこを舐め出す。


「ちか、くすぐったい」

「万北、」

「なんすか」

「万北、」

「だから、なんすか」


苦笑すると、先輩はなんでもないと言って俺の唇を啄む。先輩の背中に腕を回すと、キスが深くなった。


「…智佳、腹減った」

「お前は雰囲気をぶち壊すのが得意なのか?あぁ?」


いや、俺そんなに雰囲気をぶち壊した事ねぇだろ。


「夕方まで我慢しろ、それまで離してやるつもりはない」

「さいてーだ、あんた」

「何とでも言え。万北が悪い」

「…なにもしてねぇし」

「オレが万北を好き過ぎて、どうしようもないんだ」


あぁそれなら、


「俺も一緒だ」



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あきゅろす。
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