短編 ルール 若干エロ あれからひとつ、ルールが出来た。それは俺が自分を傷付けないようにするためのルール。 芦北がつくった。切りたくなったら、カッターを俺に渡せ、と。 それがルール 自分の部屋に篭り、あとはもう寝るだけなんだが、切りたい。 治ったはずの太股の傷がじくじくと疼く。 「…っくそ、」 机の上に置いていたカッターを手に取り、芦北の元へ向かう。芦北はリビングでノートパソコン相手に仕事をしていた。 「…芦、北…、」 「どうした、之水」 芦北は笑っている。 分かっているくせに、こうやって毎回聞いてこないでほしい。 パソコンを閉じた芦北は立っている俺を見上げた。顔を歪めながら、芦北にカッターを渡す。 「来いよ」 ぐいっと腕を引っ張られ、カッターが床に落ちる。 芦北にカッターを渡す、 それは、性行為をするという事 じくじくと疼くのは傷だけじゃなくて、身体も。 カッターを渡せばセックスが始まる。俺が誘っているみたいで、嫌だ。このルールのせいで芦北から誘ってくる事はない。 芦北の部屋に連れて行かれ、早急に行為が進められる。 「…っぅん…っく…、う」 裸で四つん這いにさせられ、体内に芦北の指が入り中を刺激する。 シーツを噛み締め、声を漏らさないように耐えた。 「之水、」 爪先で背中をなぞられ、びくりと身体が跳ねる。 「何で声我慢してるんですか?」 背後でくすりと芦北が笑う。 敬語を使う芦北は一番嫌い。ムカつく。 「っぅ…、く…ッ」 「我慢すんな、」 ぐるりと身体を反転させられ、シーツが口から離れた。 「…っは…、あ、し…きた」 「ふっ、かわいい」 可愛くねぇよという反論の声はあげられなかった。 緩くなったそこに芦北のものを挿入され、身体が弓なりになる。 「っひ…ああッ…や、あ、あ」 口元を緩め芦北は、激しく中を突く。 「っは…、お前から誘ってくんの待ってたんだぞ?」 「…ん、あッ…あ、」 「前したのは一週間前だよな」 だんだんセックスをする間隔があいてきていた。このルールになってから、切りたいと思う回数が減ってきたからだ。 俺としては嬉しいが、芦北にとっては複雑らしい。セックスしたいなら、わざわざ俺に誘わせないで自分から誘ってくればいいのに。 するかどうかは分からないけど。 「之水に誘われると燃えるんだよなぁ…っく、」 「っ、お、まえが、あっ…あ、へん、な…ルー、ルつくっ、る…から…ッ」 だから仕方なくやってんだろ。 「ばぁか、素直になれって。俺の事好きなんだろう?」 「…ひっ…く、あッ、き…、きらいだ…ッ、おま、え…なんか」 大嫌いだ。 ぼたぼた涙がこぼれる。 「ほんっと、素直じゃないな、之水は。でも俺はお前のそういうトコ、大好きだよ」 ぎゅうっと抱きしめられて、深い口づけを受けた。 …俺は、大嫌いだ。 ――――― 中途半端すいません! 之水はまだツンツンツン。 そんな之水を甘やかしたくて堪らない亜鳥さん。 . [前][次] [戻る] |