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短編
四日目



「ごちそうさまでした」


手を合わせ言う。今日はゆーろさんが昼前に来たから、昼ご飯はゆーろさんに食べさせてもらった。


「うまかったか?」

「はい、うまかったっす」

「そうか」


ギシと音がして、ゆーろさんの手が俺の頬に触れた。


「ゆーろさん?」

「こんな事になるなら、出会った時にお前を捕まえとけばよかったな」


うーん、でもその時ゆーろさんに捕まってたら、俺はたぶんゆーろさんの事嫌いになってたと思うな


「目が見えないのはゆーろさんのせいじゃないっすよ?あの時も言いましたけど、助けてもらいたかったわけじゃねぇっすから」

「まひる、」

「それにゆーろさんの事嫌いだったんで。でも今は大好きっす!」


嫌いな時からは考えられないくらい、大好き。俺の世界はゆーろさんを中心に回っている。


「まぁオレもあの時は生意気なガキとしか思ってなかったしな」

「…三つしか違わねぇっす」

「分かってないな、三つの差は意外と大きいんだよ」


くしゃと頭を優しく撫でられ、その手に擦り寄る。


「ゆーろさん、」

「何だ?」

「俺も触りたいっす」


そう言うと、ゆーろさんは俺の手を取り、自分の頬へと導いた。両手でゆーろさんの頬を包み込む。


「…あったかい」

「当たり前だろ」


ゆーろさんの顔を確かめるように手を動かす。
目、鼻、口
指で触っていけば、ゆーろさんが笑う気配がした。


「くすぐってぇよ」


ゆーろさんの柔らかい唇を飽きずに指で触っていると口が開き、ペろりと指先を舐められた。


「っうお、びっくりした。舐めるなら言ってください」

「言ったら、驚かないだろ」

「…そうっすけど」


見えないから、余計にびっくりする。ゆーろさんは俺の手首を掴み、本格的に指を舐め始めた。


「っ…ゆー、ろさん」


身体が急速に熱くなっていく。


「ちゅー、したい、っす」


言うとベッドに押し倒され、ゆーろさんが俺に覆いかぶさって、濃厚な口づけをされた。
初めてだったこんなキスをしたのは。ちなみにこの前のゆーろさんとのキスがファーストキス。
好きになったのもゆーろさんが初めて。何もかもゆーろさんが最初だし、最後。


「まひる」


熱の篭った声で呼ばれ、ゆーろさんの首に腕を回した。


「…ゆーろさん、大好きっす」


その日、俺はゆーろさんとセックスした。
初めてだったから多少なりとも痛かったけど、それよりもゆーろさんとそうなれた事が嬉しかった。
ゆーろさんを感じたし、気持ち良かった。ずっとこうしてたいと思う程。

目が見えないから気をつかうようにゆーろさんは俺の名前をずっと呼んでくれていた、大丈夫かって何度も聞いてくれた。

これ以上幸せな事なんか、無い

ただ、ゆーろさん、
ゆーろさんの顔が見たいよ
顔を見て、好きだって言いたい
ゆーろさんのぬくもりを感じたい



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