短編
二日目
「まーくん」
病室のベッドのゴロゴロしていると、たぶんゆーろさんとうきょーさんが来た。うきょーさんはゆーろさんのお友達。
本名は確か、
中須右京だったと思う。一人部屋の俺の病室にうきょーさんはお見舞いじゃなく、くつろぎに来ている。
まーくんこと俺の名前は、比留間まひる。なんつー名前をつけやがったんだと、すごく思う。
どんだけ昼が好きなんだよ、俺の親は。両親とも今は、というかずっと海外にいるから会わないけど。金持ちなんだぞ、一応。だから一人部屋だ。
「まーくん、佑露に告白したんだって?」
「そうっす。あっさりフラれたんすけどねー…」
「え?佑露ふったの?まーくんの事好き過ぎてどうしようって、言ってたじゃん」
「おい右京、誰にも言うなって言ったよな」
「おれって、うっかりさん」
てへー、と笑ううきょーさん。
ガツンと音がした。きっとゆーろさんに殴られたんだろう。
と、いうか…
「ゆーろさん、俺の事嫌いなんじゃなかったんすか…」
むしろ、好きだと?
嘘じゃねぇのか。うきょーさんの冗談にゆーろさんも乗っかったとかさ。
「嫌いなんて言ってねぇだろ。好きだよ」
「…うそだぁー」
思わず呟くと、手を取られた。
ゆーろさんの手だ。
「嘘じゃねぇよ」
「じゃあ何で昨日、断ったんすか!結構ショックだった…」
「あの時のまひるの顔はウけた」
なに、この人酷い。その顔を見るためだけに断ったんかい。
夜中号泣したのに…
ちくしょう
「まひる、」
「はい?」
ふにゃりと唇に柔らかい感触、
「は…、え…ちょっ…ちゅー?」
「ちゅー、だ」
「うわ、まーくん阿呆面」
マジで?ゆーろさんとちゅーしちゃったのかよ…
もう思い残す事はないかも。
「つー事だから、これからよろしくまひる」
「…え、ほんとに…?」
「ほんとに」
「よかったね、まーくん」
涙が出て来そうで、手の甲で目を拭う。
「泣くなよ」
「…泣いてねぇっす…」
でも、でも…ゆーろさん、あと三日なんだよ。
ゆーろさん、あと少し、お見舞い来てもらってもいいっすか…?
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