SMILE! 4 これは誰が悪いとか、悪くないとか、そういう問題じゃない。 「……誰が、悪いとか…そんな事はどうだっていい。終わった事を言ったって…、戻るわけじゃないんだ」 本当はおれが一番気にしているし、元に戻ればいいと今だに思っている。 だけど、もう駄目なんだ。それならもうふっ切って、次に進まなければ。 「……今、話さなきゃいけないのは…昨日の事じゃなくて、これからの事だ」 皆をじっと見つめると、ぽかんとしていた。 何か変な事言ったか? ハテナを浮かべていると、少し後ろにいた流星が隣に立つ。 「あのね、八くんだってちゃんと喋るんだよ。八くんが人見知りなのもあるけど、心を許してくれれば話してくれるよ…、僕みたいにね」 おれが、いつも以上に話したから皆驚いてるのか?そんなにおれは喋らないイメージだったんだろうか… ある程度その人に慣れてしまえば、大丈夫なんだが。 「ねぇ、八くん」 流星はおれの手を取り、手の甲に口づけて、そのままペろりと舐めた。 その感触にぞわっと鳥肌が立つ。 「…流星っ、やめろ馬鹿…!」 「どうして?昨日あんな事までやった仲なのに」 ニヤリと笑う流星の足を踏む。 何故皆の前で余計な事を言うんだ、流星は。 「痛いって!八くん意外と手出るの早いにゃー」 「…それはお前が、悪い」 流星と言い合っていると、ポンと肩を叩かれた。 叩いたのは青柳で、ニッコリ笑っていたが…何か怖い。 「ねぇはちゅ、あんな事って何なのかなー?」 「……え、いや…」 肩に置かれた手に力が入る。 ……ちょっと、痛い 「教えてよ、はちゅ」 「駄目だにゃ、昨日の事は僕と八くんだけのものだから。昨日言ったから分かってるでしょ?そういう取引なの」 「…流星、」 咎めるように呼べば、流星はおれの耳元で小さく、ごめんねと謝った。 謝るくらいなら最初から、言わなければいいのに。 「という事なんで、これからの事は体育祭の練習が終わってから話そうにゃ、もちろん皆でね。いいでしょ?晃雅くん」 「勝手にしろ」 そこで話しは一旦終了し、皆練習があるらしくグラウンドに散っていった。 練習というよりは、指示を出すんだろう。 結局本部テントに残ったのは、おれと流星と隠岐と…鈴。 . [まえ][つぎ] [戻る] |