SMILE! 2 side.武伊 江夏さんに迷惑かけられないと、必死に涙を止め、江夏さんと別れた。昼ご飯を食べる気分にもなれず、生徒会室へ向かう。 誰もいない廊下を歩いていると、江夏さんが言った言葉を思い出し、再び涙が溢れた。 「っ…う、ぅ…ぅえ、」 今なら生徒会室には誰もいないだろうと思い、辿り着いた生徒会室の扉を開けたら、 「不細工な面だな」 会長が一人で書類整理していた。 慌てて涙を拭うが、止まってくれない。 「武伊どうした、ガキみてぇに泣いて」 「…ふ、られました、」 「江夏にか」 「…っは、い」 江夏、という名前を聞くだけで、泣けてくる。 扉の前でみっともなく泣いていると、会長に座れと言われ、自分の席に座った。 「武伊、」 名前を呼ばれ、会長の方を見ると箱ティッシュを投げられた。 「鼻水拭け、きたねぇ」 「…ず、み゛ませっ」 ティッシュで涙と鼻水を拭くが全く止まらず、ティッシュが机に散乱していく。 「そんなに好きだったのか」 「…っう…はい、大、好き…だったんで、すっ」 大好きなんです。 初恋だった、江夏さんが。あの人と一緒になれれば、どんなに幸せなんだろうって。 「江夏よりいい奴探せ」 「っぅえ…っぅ…は、い…ぃ」 「お前ももう三年になるんだし、泣き虫卒業しろ」 「……っは、い」 会長の言う通り…、泣き虫卒業しなきゃ 「ほら食べろ」 メロンパンを投げつけられ、会長にお礼を言う。 せっかくもらったから、涙と鼻水を流しながら食べた。 「食べるか、泣くかどっちかにしろよ」 「…っす、み、ませ、」 メロンパンがしょっぱい。 この味を忘れないようにしたい。 前に進むためにも。 「強くなれよ、武伊」 「っはい…、会長みたいになり、たいです」 「お前には100万年はえーよ」 鼻で笑う会長を見て、俺も泣きながら笑った。 会長がいてくれてよかった。 じゃないと俺はいつまでも泣いていたと思うから。 一歩ずつ、前に進もう。 . [まえ][つぎ] [戻る] |