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SMILE!
俺が



暗闇の中、目を覚ます。
しばらくして目が慣れ、どこに寝ているのかが分かった。隠岐の部屋だ。
サイドテーブルに置いてあった携帯電話を取り、時間を確かめると夜中の二時を過ぎていた。
なんか目が腫れてる気がする。泣き過ぎた。

それよりもどうしておれは隠岐の部屋で寝ているんだろうか。
寝室に隠岐の姿はない。
ベッドから下り、静かに寝室から出る。暗闇の中を開いた携帯電話の明かりを頼りに歩く。
ソファーに寝ている隠岐を発見した。タオルケットだけをかけて眠っている隠岐を見て寝室に戻る。

毛布を抱えて、眠る隠岐の元へ行きそれをかけた。再び寝室に戻ろうとすれば、ガシリと手首を掴まれた。突然の事に驚き、身体が少し跳ねた。


「……お、隠岐?」

「………」


無言で起き上がった隠岐はおれの手首を掴んだまま、寝室に向かって歩き出した。
反対側の手にはさっきかけたばかりの毛布を持って。
ベッドの側まで行くと強く手首を引かれ、ベッドに倒れ込む。
倒れたおれの上に隠岐が覆いかぶさってきた。隠岐の体重が全て、おれに乗っていて、苦しい。

重い……
もしかして、寝ぼけてるのか?
おれの足の間に隠岐の右足が入り込み、耳に息がかかる。


「……っ、お、き…」


くすぐったい
小さな声で呼ぶが、寝ぼけているらしい隠岐には届かず……
耳の裏に隠岐の唇が当たり、そこに吸い付かれた。


「…っ……、」


…跡がついたんじゃないのか、これは。あまり見えない所とはいえ、誰が気付くか分からない。
そんな事を思っていれば、耳たぶにキスをされ耳元で…小さく小さく囁かれた。


「…俺が、あいしてやる」


直接耳に入って来た言葉に、息を詰めるが、すぐに口元を緩めた。
嬉しい言葉だった。
穏やかな寝息が耳元で聞こえてきて、おれも目を閉じた。


カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。


「…ぅ…ん…、」


ぱちぱちと瞬きをし、視線を隣に移すと……隠岐がじっとおれを見ていた。
…びっ、くりした

隣に寝ている隠岐は眉間にシワを寄せている。何故か不機嫌。


「……お、はよう…?」

「……」


無言。隠岐は更に眉間にシワを刻み、口を開く。


「何で、ベッドにいる」

「……は?」


えっと、それはおれが?それとも隠岐が?とにかく謝っておこう。


「……ごめん」

「違う。俺はソファーに寝てただろ」

「……覚えて、ないのか?」

「あ?」


覚えてないらしい。
昨日…というか今日の事。自分の行動も、言った言葉も。


「……そうか、」


俺が愛してやる
その言葉は嬉しかった。
だから、覚えていないというのは少し寂しい。



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あきゅろす。
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