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SMILE!
八の事 side.六



佐々に呼び出され、半木先生と橘先生と共に食堂へ行く。普通の食堂じゃなく、専用の食堂に。
何だと思いながら、中に入れば生徒会やらがいた。そこで、ピンときた。
もしかして八関係かと思っていたら、案の定佐々が今から八が昔の事も全部話してくれると。
しかし、何で今日なんだろう?
24日って…なんかあったか?
ん?…24、日?


「ああっ!!」


思わず叫べば、そこにいた全員から視線を浴びた。何でもない、とごまかしつつ、ひとり考え込む。
今日って、八の誕生日だよな?
俺の記憶が正しければ。完璧に忘れていた。後で謝ろう。
だから、今日話すのか。
頑張れよ、八

そんな事を思っていたら、佐々が八に電話して、どういう経緯か知らんが、電話で話す事になったらしい。電話から八の声が聞こえる。密室の食堂に八の声が響く。

何で高校に行かなかったのかという話になり…、親の話になった。
黙って聞いていたが、内心はすげえイライラしていた。
電話の向こう側で、八が泣いている。


《……親の愛情、なんて…っ知らない……!》


分かってるよ、八
八の事、分かってるから。
黙っているのにも限界がきて、八に話しかける。


「八、落ち着け。大丈夫、怖がるな…側にいるから」

《……っむ、つ…》


ああ、余計に泣かせてしまったかもしれない。
ガツと、何か落ちる音がした。
たぶんケイタイを落としたんだろう、八の声が聞こえなくなった。
と思ったら、もしもしと誰かの声が聞こえた。


「…しょうくんだ」


ぽつりと一年の風紀、確か…戸谷が呟く。
しょうくんって誰だよ…しょうくんって奴も八が好きなのか?
もしそうだとしたら、八を好きな奴……多くねぇ?


「…何で省吾くんが八くんと一緒にいるの」

《うっさいなぁ…何で一緒にいるとか、今どうでもいいでしょ。しばらくしたら江夏サン、連れて行くから、待ってて。じゃ》


しょうくんだか、省吾くんだかはそれだけ言って通話を切った。
シンとなる食堂を見渡す。
なんつー顔してんだよコイツら。
同情するような目
悲しそうな目
知りたいって思ってたんだろ、八の事。ちょっとは覚悟してから聞けよ。何を聞いても、動じないくらい。
半木先生と橘先生は、八の事直接は聞いてはないらしいが、知っているみたいで、ただ黙っていた。



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