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SMILE!
全て



良仁さんと電話を終わらせ、今度は流星に電話をかける。また無駄に緊張しながら。
かけてから思ったが、授業に出てたらどうしよう。もう授業あってる時間帯だし。しかしそれは杞憂に終わり、流星の声が聞こえた。


「……あ、流星…?」

《そうだにゃ。どうかした?》

「……え、っと、その…今日、」

《うん。話してくれるんでしょ》

「……ああ…、だから、その…七時頃、紅の食堂に来てほしい」

《分かった。皆にも伝えればいいの?》


生徒会と風紀と隠岐達と、桐也先生と真樹先生、それに六。
その人達を呼んでほしいと流星に伝えた。流星の了承の返事を聞いて、電話を切る。
流星に怒られるかもしれない。
七時、おれは紅の食堂には行かない。よくよく考えてみれば、19人も集まるんだ。たぶんそこに行ったら、おれは話せなくなる。
緊張と不安、恐怖
いろんな感情が混ざり合って、話す事が出来なくなる。だから、直接じゃなく、電話で話そうと思っている。
話せなくなるよりは、マシだと思う。
逃げた、勇気がない。そう思われても仕方ない。
実際おれに勇気はないから。

ベッドの上で膝を抱えて、顔を埋める。話すって決めた今でも怖い。逃げ出したい。
でも、絶対話すと約束した。
直接話せなくて、ごめん。だけど、許してほしい。ちゃんと全てを話すから。

いつものように仕事をすれば、もう七時前でやっぱりこういう時だけ時間が進むのが早いと思った。
家にいると落ち着かなくて、携帯電話を握り締めて、外をふらふらと歩く。
校舎の方に行く。
職員室以外は全て電気が消されていた。皆は寮の方の食堂にいるんだろう。
ぼーっと校舎を見ていれば、誰かがそこから出て来た。


「あれ、江夏サン?」

「……大神、」


校舎から出て来たのは大神で、今から帰るようだった。


「何してんの」

「……大神こそ、」

「僕は今まで、先生に雑用押し付けられてた。まあ、そのおかげで晩ご飯奢って貰えたんだけど」

「……そう、か」


と、いうか…大神もだいぶおれに関わってるよ、な…?でも大神はおれの事、どうでもよさそうだけど。


「……大神」

「なに?」

「……頼みが、ある」

「…その頼みは僕じゃなきゃ、ダメなの?」


コクンと頷く。
やっぱり、大神にも聞いていてほしい。どうでもよくても。


「分かった、いいよ。で、頼みって何なの」

「……少しの間…一緒に、いてほしい」

「なにそれ…ホントにそれ僕でいいの?」


ああ、と頷くと大神は微妙な顔をしながらも了承してくれた。
とりあえず、


「……誰も、いない所に、行きたい」

「それ、セックスのお誘い?」

「………違う」


大神との会話で少し、緊張が薄れたような気がする。
ほんの少しだが。
誰もいない場所がいいならと、大神に連れられて体育館まで来た。
何も明かりがなく、月の明かりだけが頼りだった。
体育館の扉の前に隣同士で座り、扉に背中を預ける。


「…大神…」

「なに」

「……手を、繋いでもいいか」

「江夏サン、今日変だよ」


そう言いながらも、大神はおれの手を取り繋いでくれた。繋いだ左手が暖かい。
もうすぐ、七時…



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あきゅろす。
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