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SMILE!
4



「まさかお前にアドバイスされるとはな」


アドバイスらしい事は何も言ってない気がするが…


「…好きな人、出来るといいな」

「そうだな。お前もな。…オレを好きになってくれても構わねぇけど」

「…それはおかしいだろ」

「おかしくねぇよ。でも告白する時はお前からな」

「……いや、加賀谷から」

「お前からだろ」


そんな事を言い合い二人で笑う。
冗談だから、笑える話。


「あ、江夏、机の中」


加賀谷が唐突にそう言うから、机の中に手を入れ覗き込んだら…


「ッうわあぁ!…痛ッ!」


ぬるりとしたカエルがいた。
驚いて、手をぶつけた上に、イスから落ちた。


「っくく、ふは、はははッ…おま、たかがカエルの作り物にそこまで、ビビるか?やば…っはは」

「…っ、仕方ないだろ…!」


だって、本当みたいにリアルで大きいし何かぬるぬるしてるし。
おれはカエル苦手なんだ。
まだ遠くから見る分なら、いいけどこんなに近いのは無理だ。
というか、何でぬるぬるしてるんだ、嫌だ。


「お前面白いな」

「……おれは面白くない」

「ほらオレのとこにもカエル」

「……やめろ、馬鹿」


目の前に手の平サイズのカエルを持って来られ、鳥肌が立つ。
何故加賀谷のはぬるぬるしてないんだ。


「もう驚かねぇのかよ」

「……あれはいきなりだったし、何かぬるぬるしてたから」

「ローションか何か付けてんじゃねぇの」


…やめてくれ
カエルに触れた手が少しぬるぬるしてる。


「お前カエル苦手なんだな、いい事知った」

「……忘れてくれ」

「無理だろ」


床に座ったままため息をつく。
加賀谷はおれが座っていた机の中からぬるぬるしたカエルを取り出すと机の上に置いた。


「……何してるんだ」

「中より上にいた方がいいだろ」


そりゃあそうだろうけど。
机の上のカエルを見ると、目が合い更に鳥肌が立った。
机の上のカエルから目をそらすと、頬にぬるりとした感触がした。
何かと思えば加賀谷がカエルを触った手でおれの頬に触れていた。


「……何、してるんだ」

「お前をローション塗れにしてやろうかと」

「……やめろ」


加賀谷の手を退かし木野の服を脱ぎ、自分の服で手と頬を拭う。
ついでに加賀谷の濡れた手を取り、拭いてやる。


「…お前のそのさりげない優しさは何なんだよ」

「……拭いちゃいけなかったか?拭かないと手繋げないだろ…?」


一応デートだし、どうせまた強制的に手を繋がなければいけないだろうと思って拭いたんだが。


「お前、実はすげぇタラシだろ」

「……は?」

「いや、もういいや…行くぞ」


ため息をついた加賀谷はおれの手を取りイスから立つ。木野の服を腕に抱え、加賀谷の手を借りて床から立ち上がった。


「さっさと行くぞ」

「……ああ」


教室を出て、早足で歩く加賀谷について歩く。暗い廊下に生首のマネキンが置いてあり、地味に怖かった。
お化け役の生徒は加賀谷を見て挨拶をして、加賀谷はそれに応えながら歩く。お化け役の生徒の衣装や化粧も凝っていて、暗い所だとすごく怖い。たとえ、生徒だと分かっていても。
内心びくびくしながら、お化け屋敷を進んでいると出口と書かれた看板があった。


「……やっと出れるのか」


出口の前に立つ一人の生徒が暗幕を開けると、光が差し込み眩しさに顔をしかめる。
外にも生徒がいて、その生徒からチケットのようなものを貰った。
それを見ると、食堂一品無料券と書かれていた。加賀谷は生徒会長だからか、いらないと断った。


「……次、どこか行くのか?」

「もうすぐ昼だし、混む前に食堂行くか」


加賀谷に手を引かれ、階段を下りていく。
初めてのお化け屋敷はぬるぬるのカエルだけが強く印象に残った。



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あきゅろす。
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