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SMILE!
2



「何か見返りをくれないとさぁ、助け損じゃん?」

「……見返り…、」

「何、嫌なの?せっかく助けてやったのに?いいの?おかーさんが監禁オッケーだって、滝登に言うよ?」

「…っそれは、やめてくれ…」


でも見返りって、大神に何をあげればいいんだろうか…?


「……何が、ほしいんだ」

「ほしいっていうか、言ってほしい言葉があるんだけど、もちろん言ってくれるでしょ?」


どうせ、強制じゃないのか。まあ言うだけならいいかと、頷いた。


「じゃあさ、しょうくんって言ってよ」

「……嫌なんじゃ、ないのか」

「あれは、突然だったから。ああそれとエッチしたいって言って」

「…っなんで!」

「面白そうだから。はい言って」


ニヤニヤと笑う大神の手には携帯電話が握られていて、また撮るみたいだ。


「……撮るのか」

「当たり前でしょ。ちゃんとカメラ目線で言ってね」


大神の手が伸びて来て、おれの前髪をかき分ける。
どうしよう、とてつもなく恥ずかしい。
きょろきょろと視線をさ迷わせていると、また大神の手が伸び、おれの頬に触れた。大神の指が頬を撫で下ろした。


「江夏サン、早く」


腰にくるような低い声で言われ、顔を伏せた。が、顎を掴まれ顔を上げられる。


「早くいいなよ、犯すよ?」

「…っ、」


思い切って口を開く。
さっさと言ってしまえば、それで終わりなんだから。言わされてるだけ、そう自分に言い聞かせる。


「……しょ、しょうくん、」


ぎゅっと手を握り締め、最後の言葉を言う。


「……えっ、ち…したい…」


カメラ目線など無理で、伏し目がちにしていると、目の前から笑い声が聞こえた。


「っく、ははは…ッ」

「…ッ笑うな!!大神が、言わせたんだろ…!」


急に恥ずかしくなり、身体中が熱く火照る。


「いや、ごめっ…破壊力凄すぎて、笑うしかない……あははっ」


腹を抱えて、爆笑する大神を何とも言えない気持ちで見下ろす。
大神がこんなに笑ってるのは初めて見た。だけど、笑っている理由がおれとしては全く笑えない。
大神が言えって言ったから、言ったのに、そんな笑わなくてもいいんじゃないだろうか。
すごく恥ずかしかったのに…


「…はぁー、面白い」


やっと笑いが収まった大神は持っていた携帯電話をポケットに戻し、おれを見た。


「江夏サン最高だったよ」

「……おれは、最低な気分だ」

「じゃあエッチする?」

「…っ何でそうなる…!」

「江夏サンがエッチしたいって言ったじゃん」


…それは大神が言わせたんだろ。
大神を睨みつけると、大神はまた笑う。


「それに、最高な気分になれると思うよ」

「…それは大神だけじゃ、ないのか」

「そう?江夏サンも気持ちよくしてあげるけど?」

「……遠慮する」

「なんだ残念。あ、それと今日撮ったやつ、しばらく僕のオカズになるかもね」


絶句した。
どうしてこう、恥ずかしい事をさらっと言えるんだろうか…
呆然とするおれの腕を掴み、大神はちゅっとキスをした。


「じゃあね、気をつけなよ」


手を振って去って行く大神。
身体中が熱くて、すぐに家の中に入る。玄関に背中を預け、ずるずるとその場に座り込む。


「……何、なんだ…」


優しかったり、そうじゃなかったり、からかわれているんだろうけど…おれなんか、からかわなくても。
ほんと、何なんだ…



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