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SMILE!
雨音、



次の日、朝から雨が降っていた。

花を植えようと思っていたのに。今日は無理そうだ。窓際に立ち、外を眺める。シマは部屋の中をうろうろしていた。
何をしよう。温室にでも、行こうかな。まだ何も植わってないし、何を植えるかも決めてない。
とりあえず、温室に行こう。
うろうろするシマを撫でて、家を出た。傘を差して雨の中を歩く。


「…八くん、」


背後から呼ばれ、振り向くと流星が傘を差さずに立っていて、びしょびしょに濡れていた。さすがにヘッドホンは付けていない。


「……流星」


まさか今日会うとは思ってなかった。何を話せばいいのか分からない。それに流星はいつも見たいに笑っていなくて、少し怖かった。
濡れる流星が気になり、近付いて傘の中に流星を入れた。が、バシッと腕を振り払われ、その反動で傘が地面に落ちる。
そんな事されるとは思ってなくて唖然と流星を見ると、流星は嘲笑った。


「…馬鹿みたい」

「……流、星…」

「僕が何で友達になろうって言ったと思う?」


分からない。友達になる理由なんてあるのか?友達になろうって言ってくれた時おれはすごく嬉しかった。


「友達っていい位置だと思ったから。八くんの近くにいれるでしょ?だから友達を選んだ」

「……それって、」


ただ純粋に友達になりたいと思ってくれたんじゃなくて…、


「八くんは流されやすいし、友達という位置にいれば、何でも出来る。キスもセックスも」


それが目的…?友達になってくれたのも、今まで近くにいて助けてくれたのも、全部?
でも、流星が助けてくれたのは事実だ。


「でもぜーんぶ意味なかった。僕の場所簡単に取られちゃった」


こんな事なら早くセックスしておけばよかった、と流星は笑っておれを地面に押し倒した。
おれを押し倒す流星の顔は苦しそうだった。雨に打たれ、身体が冷える。


「…流星、退いてくれ」


流星は優しい人間だ。だから、こんな事絶対にしない。


「嫌だよ。八くんは弥永が好きなんでしょ?」

「……六は、親友、」


おれはそう思ってる。告白されたけど、六は親友だと。


「親友には見えない。恋人じゃないの?」

「…っ違う…!」


親友なんだ。たった一人の大切な親友。


「違うって、じゃあ何で僕には笑ってくれないの!?何が違うのあの教師と!僕だって、八くんの側にいたし、助けた…なのに何で?八くんは全然思い通りになってくれない…!」


流星の思い通りがどんな感じなのか、おれは知らないけど人はそう簡単に思い通りにはならないものだろう。
六と流星は違う。
一緒の人間なんていないし、流星には流星のいい所がある。
…六は、全部知ってるからどうしても甘えてしまう。


「……流星は、おれが、笑えば満足するのか」


駄目だ、冷静になろうと逆に、苛立ってしまう。


「…無理矢理笑えばいいのか」

「っそんな事言ってないでしょ!何でわかってくれないの!」

「……わかってくれないのは、お前だろ…!おれをどうしたいんだ…、はっきり言ってくれ」


濡れた前髪の隙間から、流星を見る。


「…八くんの事が、知りたい。初めてなんだよ、こんな気持ちになったの」


八くんがすごく愛しい。
そう呟いた流星は濡れた髪をかき上げた。


「……おれのこと、」

「好きだよ。だから嫌いなの、弥永の事。八くんの1番近くにいるから」


頭がパンクしそうだ。
やめてくれ、何でおれなんか好きになるんだ。
おれより、良い人はたくさんいるだろ。だから、おれを好きにならないでくれ。



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あきゅろす。
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