SMILE!
2
ぐっと抱き込まれて、腰とお尻に加賀谷の手が這う。
「…っ加賀谷…やめろッ」
「イヤって言っただろ」
指が秘部に触れ、思わず身体に力が入る。
「……嫌っ、あ゛…、痛ッ」
固く閉ざしているそこに無理矢理指が一本入って来た。ぐにぐにと浅く指が出入りする。
「…や…だ、か、がや…っ」
加賀谷の背中に腕を回し、必死にしがみつき、顔を加賀谷の肩に埋める。
「顔は可愛くねぇけど、そういう行動は堪んねぇな」
耳元で、フッと笑う声がした。
その時、ピンポーンとインターホンが鳴った。
その音にびっくりした。
「……な、に…」
「あー…、忘れてた」
説明によると、加賀谷の携帯電話に和泉から電話があったらしく、おれを探していると。それで、加賀谷は自分の部屋にいるからと言った、と。
「そういえばあの写真、一斉送信されてたな。だからお前探されてんのか」
大変だなぁと人事のように加賀谷は呟く。おれがここにいる時点で、多少なりとも関係あるのに。
「……か、がや…指抜いて、」
「お前の口からまだ聞いてない。で?どこ、触られたんだ?」
「…っく……、」
加賀谷は内側を擦るように指を動かす。何度もインターホンが鳴り、扉を叩く音がする。
「うるせぇな」
舌打ちをした加賀谷は指を中に入れたままおれを抱き上げ、歩き出す。
「…ひっ…ぅ…やだっ、嫌、」
あきらかに玄関に向かっていて、加賀谷の背中を叩き、抵抗する。
「……っお願、い…加賀谷、ほんとに、嫌、だ…っ」
扉の向こうには誰かいて、こんな姿を見られるのも嫌だし、扉一枚挟んだとしても嫌だ。
震える身体でしがみついていると、宥めるように背中をゆっくり摩られた。
「泣くなよ」
「……っ泣いて、ない…」
加賀谷は脱衣所に戻ると指を抜き、おれを床に座らせバスタオルを肩にかけた。キスをされ、そっと頬を撫でられる。
「ここで待ってろ」
脱衣所を出て行った加賀谷。
玄関を開けたらしく、声が聞こえた。
「一沙、ハチ公は」
「今は風呂入ってる」
いるのは和泉だけじゃないらしい。声からして、鈴と流星と…岩代だろう。
肩にかけられたバスタオルを頭から被り、音を遮る。
ふと影が落ち、顔を上げると加賀谷がいた。話し終わったんだろうか、
「……終わった、のか…?」
「ああ。今から食堂に行くぞ、腹減っただろ」
もう昼か、確かにお腹すいた。
「その前にひとつ聞くぞ」
また何かされるかもしれないと、びくりと身体を震わせると加賀谷に笑って頭を撫でられた。
しゃがみ込み、おれと目線を合わせる。
「誰にされた?」
「……言え、ない」
「名前は言わなくていい。オレの知ってる奴か、そうじゃないかだけ答えろ」
「……知ってる、人…」
ぽつりと答えると、加賀谷が深くため息をついた。
「やっぱりな」
やっぱりって何だ、
不思議に思っていると、腕を掴まれ立たされた。
「服着ろ」
頷き、貸してもらった服と下着をのろのろと着る。その間、加賀谷は汚れたおれの服を洗濯機に入れた。
「日向だろ」
「……え…?」
「日向がタバコ吸ってる倉庫だろ?写メに写ってた場所」
何で分かったんだ。写ってたといっても、床くらいしか写ってないだろう。なのに、何で…
「さっき日向の奴、楽しそうな顔してたからなぁ。後は時間帯と場所から考えて。アイツ生徒会室にいなかったし」
遊ばれてんな、と加賀谷は苦笑する。おれにとっては全然、笑えない遊びだけど。
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