SMILE!
下手くそ
加賀谷の部屋についた途端、風呂に放り込まれた。
「服は後で持ってくる」
「……あ、りがとう」
風呂場から加賀谷が出て行ってから、牛乳臭い服を脱ぐ。
シャワーを出して熱いお湯を頭から被る。髪と身体を軽く洗ってから、脱衣所に行くとちょうど加賀谷が服を持って入って来た。
「………」
当然、おれはまだ裸
男同士だから隠すのもおかしい。だけどせめて下半身を隠したいけど隠すようなものはない。バスタオルは加賀谷の近くにあるから取りづらい。
無言で立ち尽くしていると、加賀谷がバスタオルを投げて渡してくれた。
「……ありがとう…」
「早かったな」
「……ああ、」
あんまり長く入っているのも、加賀谷に悪いと思ったし。
服を持ってきてすぐに出ていくかと思ったが加賀谷は出ていく気配がない。バスタオルを持ったまま、加賀谷を見ていると加賀谷は眉間にシワを寄せて、おれに近付き手首を掴んだ。
掴まれた反動でバスタオルが床に落ちる。
「お前馬鹿だろ」
「……加、賀谷…離して、くれ」
そう言ったのに離すどころか、更に強く握ってきた。
手首はネクタイで縛られていたため赤くなっている。加賀谷もそれに気付いている。
「あの写真説明してもらおうか」
今?ここで?せめて服が着たい。裸でいるのはつらい。
だけど加賀谷は気にしておらず、早く話せという顔をしている。
「……あ、れは…何でも、ない」
何でもなくはないけど、なんて説明すればいいのか分からない。
「何でもない、か。お前嘘下手くそだな。あんなしっかりとした証拠があんのに」
「……だから、それは…」
「襲われたんだろ」
「……違う」
「何が違うんだ」
俯くと少し冷たい声で顔上げろと言われ、ゆっくり顔を上げた。
襲われた、というのは違うような気がする。でも、いろいろとされてしまったのは事実だけど。
「……牛乳、だから」
「何が」
「…写真に写ってる、白いの」
「……は?」
少しの沈黙の後、理解したのか加賀谷は深いため息をついた。
「だから牛乳臭かったのか」
頷くと加賀谷は眉間にシワを寄せたままおれを抱き寄せる。
「…っ濡れる、から」
まだ身体を拭いていないから、濡れているわけで、加賀谷の制服が濡れてしまう。
「本当に、何もされてないのか。牛乳かけられて、写真撮られただけか?」
「……、ああ」
加賀谷と至近距離で目が合う。
「嘘ついてんじゃねぇよ、目が泳いでるんだよアホが。しかもあきらかに嘘ついてますって、間じゃねぇかよ」
バシッと額を叩かれた。
「正直に言え。何された」
「………」
「言わねぇと、オレが犯すぞ」
「…っさ、触られただけ…だから、ほんとにそれだけだから…、」
触られて、いかされた。
それだけ。
「どこを」
「………どこ、って…」
言えるわけがなく、加賀谷から視線をそらす。視線をさ迷わせていると、加賀谷の手が腰を撫でる。
「……ちょっ、なに、して、」
「お前が言わないから、探してやってんだろ」
加賀谷の手がどんどん下り、尻に触れた。そこをぎゅっと掴まれ、思わず加賀谷の腕を握る。
「…っやめ、ろ」
「お前が言えばやめる。まあ何されたかなんて、あれ見れば分かるけど」
加賀谷が指を差した先にはおれの服と、下着。もちろん下着には精液がべったりとついている。
それを見て、顔が一気に赤くなった。
「…っ…じゃあ、もう、いいだろっ、離してくれ」
「お前が話すまではイヤ」
子供っぽい笑みを浮かべた加賀谷は、おれの口元に触れるだけのキスをした。
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