SMILE!
解散
次の日の朝は、いつもより少し寝坊してしまった。昨日は六と今までの会えなかった間の時間を埋めるように話し合った。
それで寝たのは12時過ぎ。
今日は普通に学校がある。六はちゃんと起きれただろうか。
そんな事を考えながら、窓を開けて、シマにエサをやる。
欠伸をしながら洗面所に行き、顔を洗った。歯磨きをしているとドンドンと扉を叩く音が聞こえた。
誰だろう?
歯ブラシを口に突っ込んだままのろのろ歩いて鍵を開け、扉を開けると、隠岐がいた。
喋れないので、首を傾げる。
「早く準備しろ、話がある」
コクコクと頷いて、洗面所に戻った。
着替えて隠岐の所に行くと、隠岐の足にシマが擦り寄っていた。
隠岐は眉間にシワを寄せて、シマを見ていた。少し困っているように見えたので、うろつくシマを抱き上げる。
「……猫、苦手か?」
「そういうワケじゃねえ。動物とか触った事ねえから、どうしていいかわからないだけだ」
意外だった。
何でも平気そうなのに、動物の扱いは分からないのか。
「……普通に触ればいい」
そう言うと、にゃあと鳴くシマの頭を隠岐は優しく撫でた。
「…おとなしいな」
ふ、と目元を緩めて微笑む隠岐に見惚れた。
腕の中からシマが抜け出し、ベッドに丸くなる。今日はまだ散歩に行かないみたいだ。
「準備終わったなら行くぞ」
「……ああ」
ベッドで寝るシマを見てから、隠岐と共に家を出た。
話ってなんだろう?
わざわざ隠岐が迎えに来たんだから大事な話なんだろうけど
何だろうと考えながら、隠岐の後ろを歩いた。
隠岐に連れられて紅の集まる部屋に入ると、五十嵐に後ろから抱き込まれた。
「……八、久しぶり」
「…ああ、」
五十嵐は離れる気はないらしいので、そのままにしておく。
皆久しぶりだ。お見舞いには来てくれたけど、それ以来会っていなかったから。
昨日も会えなかったし。
「晃雅、はちゅにもう話したのー?」
「今からだ」
ソファーにどかりと座った隠岐はじっとおれを見て、口を開く。
「お前は、もうここに来なくていい」
「……え?」
「普通の用務員に戻れ。紅は解散する」
紅はべに様を見つけ出すためにつくられた組織。だからべに様という存在が無くなった今、紅はもう必要なくてその担当のおれも必要ないという事。
担当らしい事は、何一つしてないけど、無くなってしまうのは寂しい。それに、皆とあまり会えなくなるような気がする。
元々、立場が違うのだからそれは当たり前だけど。
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