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SMILE!
待て



昼ご飯を食べた後、桐也先生達とは別れ、六をおれの家へ招いた。


「おおっ、猫がいる!」


ベッドの上で寛いでいるシマを見ると、六はベッドに向かいシマを撫でた。


「名前は?」

「…シマ」

「縞模様だから、シマね。覚えやすいな」


シマはごろごろと喉を鳴らして、六に擦り寄る。
初対面なのに、もう懐いてる。
シマにも分かるのだろうか、六が大切な人だと。


「…六、さっきの話…、」

「待て。その話をする前に、」


シマと戯れるのを止めた六は目の前に立ち、おれを抱きしめた。
ぎゅうっと強く抱きしめられ、苦しかったけど、久しぶりのこの体温を離したくはなかった。


「八が側にいるって感じたい」


六はおれの首筋に顔を埋める。
濡れた感触がした。


「…六、泣いてる、のか…?」

「泣いてる」


くしゃりと六の頭を撫でると、お前に撫でられる日がくるとは…とぽつりと六が呟く。


「…はち、」

「……六?」

「会えると思ってなかった」


それはおれも思ってた。


「……おれも。それに、六はおれの事、覚えてないんじゃないかって…」


正直に言うと六は顔を上げて、おれを見つめた。六の目には涙が浮かんでいる。


「ばーか、覚えてるに決まってるだろ。俺にとっても親友はお前だけなんだから」


コツンと六が額をおれの額にぶつけてきた。


「もう絶対置いていかないから」

「……う、ん」


おれももう待たない。だって六はすぐ近くにいる。いつだって会える。唯一の親友に。



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