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SMILE!
無意識



「弥永、ちょっといいか」

「はい?何ですか金武先生」


六はおれをゆっくり離すと、桐也先生の方を見る。


「お前らは前からそんな感じなのか?」


そんな感じ?そんな感じってどんな感じだ。
疑問に思っていると六が笑って答えた。


「そうですよー。前からこんな感じです。何か問題ありますかね」

「いや、問題っつーか…」

「あー、中学の時もよく勘違いされたんですよね、恋人だとか」


…そうだったのか。初めて聞いた。恋人だって勘違いされる程、親密に見えるのか?
よく分からない。友達との接し方が分からない。六が初めての友達だと思うし。だから、六とこうやって接する事が普通だと思っていた。
六は勘違いされるの嫌だろうと思って、六から離れた。


「八?何で離れるんだ」

「…嫌、かと思って、」


俯くと、六はおれの頬を両手で包み込み、上を向かせる。


「…六、」

「俺はむしろ大歓迎だけど」

「…え?」

「八と恋人同士に見えるくらい仲が良いって事だろ?」


すげーいいじゃん、と六はニコリと笑う。
ここでは男同士は普通になっているけど中学の時は違う。気持ち悪いとか、偏見があったはずなのに六はおれといてくれたのか。


「弥永センセーは八君と恋人同士になりたいとか思うの?」


流星が少しぶすっとしている。
機嫌が悪いらしく、語尾ににゃがついていない。
…と、いうか、なんて事を聞いているんだ。
六が何て答えるのか、気になりじっと見つめた。


「んー、八ならいいかも。好きだし」


頬にあった六の両手が移動して、頭をぐしゃぐしゃに掻き混ぜられた。
好きだという言葉は嬉しかった。だけど、少し複雑だった。六はここでのおれを知ったら、どうするんだろう。
楢木先生にされた事、隠岐に抱かれた事、六に軽蔑されないだろうか。
急に怖くなった。


「えー、じゃあ親友とキスとか出来るの?弥永センセーは」


それを聞く流星を見ると、流星はいつもみたいににこにこ笑っていなかった。そういう事を六に聞かないでほしかった。



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あきゅろす。
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