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SMILE!
3



開会式はスムーズに終り、すぐに最初の競技が始まった。
生徒会も風紀も忙しそうに動いていた。紅ですら。

というか、楽しそうだ。
真樹先生は救護テントから動けないみたいだし、桐也先生は放送テントで指示しているし。ああいう姿を見ると、ちゃんと先生やってるんだなぁって再確認する。
やっぱり二人は尊敬する。


「あ、次依鈴さん走るみたいッスよ」

「……、」


スタートラインには鈴と他の生徒。鈴が走るせいか、観客の生徒は熱狂していた。加賀谷とか和泉とかが出て来たらもっとすごい事になるんだろうな。
そんな事を考えていたら、パンッとピストルが鳴りスタートしていた。


「さすが早いッスね」


矢沼弟の言ったように鈴だけ飛び抜けて速かった。
そしてやっぱり一位でゴール
…キス、しなければいけないんだろうか…
悶々と考えていると次の競技が始まる。スタートラインに目を向けると、咲と菊が互いの足を紐で結んで立っていた。
二人三脚らしい。双子だけあって足並みは揃っていた。だけど惜しくも二位。

それからは知っている生徒が出なくて、矢沼弟と話していた。矢沼弟は性格のせいか、すごく話しやすい。
兄ちゃんは大事な所で失敗するとか、でも親に怒られる時は必ず庇ってくれたりとか、
矢沼の話をたくさんしてくれた。


「あ、兄ちゃんだ」


挙動不審な矢沼がスタートラインに立っている。
スタートした矢沼は三位で箱から、紙を引いた。引いた紙に何が書かれていたかは分からないが、矢沼は固まったまま動かなくなってしまった。


「……どう、したんだ?」

「何か変なもんでも引いたんじゃないッスか?」


固まった矢沼を見ていると、矢沼は引いた紙を握り締めてやっと動き出した。


「…こっちに来てる気がするんスけど」

「……気のせい、だろ…」

「いや、気のせいじゃないみたいッスよ。目の前にいますけど」


顔を上げれば矢沼が思い詰めた顔をしてそこにいた。


「兄ちゃん…?」


弟の呼びかけは耳に入っていないらしく、全く反応しない。
どうしたんだろう?やっぱり何か変なものを引いたんだろうか?



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あきゅろす。
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