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SMILE!
馬鹿 side.栄



薄暗く広い部屋
キングサイズのベッドの上で、馬鹿な親友に電話をかける。
ワンコールで出た親友は心配そうにぼくの名前を呼んだ。


《栄っ!?》

「…風大…、」


か弱く、か弱く
風大がより心配するように、そういう演技をする。


《どこいるんだよっ!オレッ、栄がいないと駄目なんだっ》

「…うん、ごめんね…今、実家に帰ってて…」


なーんて、ウソ
実家にいるわけない。あんな所にいたらすぐにバレてしまう。
お金はあるから、学園に比較的近い所にあるマンションを借りている。


《なんで、学校来ないんだよ》

「…そのことなんだけど、全部…江夏さんのせい、なんだ…」

《どういう事だよ、それ!!》


思った通りの風大の反応に、思わず笑いそうになった。どうにか口元を緩めるだけに抑えた。


「…あのね、ぼく……江夏さん、に…襲われて…っ」


全部あの人のせいにしていまえばいい。
馬鹿な風大はすぐに信じる。
ああ面白い。面白すぎて、涙が出るよ。


「っそれで、怖くて…学校に行けない…」


震えた声を出して、鼻を啜る。
まるで、泣いているように。


《…最低だ。栄にそんな事するなんて…!》

「…っ風大、怖いよ…」


あと少し。
あともう一押し


「ぼくには風大しかいないのっ、助けて…!」

《わかった。オレが栄を助けるから。江夏さんがいなくなれば、栄は学校に来れるんだろ?》


風大の言葉に、ニヤリと笑う。


「っうん。江夏さんがいないなら学校に行くよ、風大に会いたいから」

《栄、待ってて!絶対来れるようにするから!》

「ありがとう、風大。風大は大切なシンユウだと思ってるよ」


親友だと言われて嬉しそうにする風大の声を最後に電話を切った。

期待してるよ、馬鹿な親友
ぼくを楽しまさせてね



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あきゅろす。
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