SMILE! 告白 「俺は、貴方が好きです」 想像はしていた、 だけど、本当におれを好きだとは思っていなかった。 「……っな、んで…おれなんか」 「八さんだからです。…最初、貴方に話しかけたのは興味があったからです。八さんが生徒から嫌われてる事も知ってました。だから、話しかけたんです」 ただの興味 でもそれが嬉しかった。鈴が話しかけてくれた事が、嬉しくて幸せだった。 「貴方と関わっていくうちに、どんどん好きになっていきました。俺は八さんの事何も知りません、だけど、何も知らなくても気持ちは伝わるって教えてくれたから」 歓迎会の時の言葉を鈴は覚えていてくれたのか。じゃあ、あの時鈴が話していた好きな人って…おれの事だったんだな… 「好きだから、嫉妬もします」 「……嫉妬、」 「楢木に襲われた時は自分自身に苛立ちました。でも隠岐との事が一番嫌でした」 大神の言う通りだった。 おれの何気ない態度で、鈴を何度も傷付けていたのか。…隠岐との事も。 「八さんが望んで隠岐とやったって聞いて、隠岐よりも八さんにムカつきました」 泣きそうな顔、 …まだ高校生、なんだよな。 大人のおれなんかより、ずっとしっかりしてる。でも、今の鈴は少し弱い感じがする。 「何で隠岐なんだろう、俺には何も言ってくれないのにって、ずっと思ってました」 「……鈴が、悪いんじゃない…おれが、弱いから」 優しい鈴じゃなくて、隠岐を頼ってしまう、流されてしまう。 そう言うと、鈴はおれを抱き寄せた。 「じゃあ俺にも流されてくれませんか」 「……え…?」 「抱きしめたい、キスがしたい、もちろんそれ以上の事も。俺じゃ駄目ですか?」 駄目ってわけじゃなくて、 鈴はそれでいいのか…?付き合うとかじゃなくて? 「……鈴は、おれと付き合いたい、のか…?」 「出来れば。だけど八さんはまだそんな事考えられないですよね。だから今から、俺の事考えてくれませんか」 「……わ、かった」 ゆっくり頷くと鈴はやっと笑った。今日初めて鈴の笑顔を見た。 少しほっとした。もう見れないと思っていたから。 「……よかった、」 「何がですか?」 「…もう、鈴と話せないと、思ってたから」 「でも、今まで通りには出来ないです。近くにいたらきっと我慢出来ないから、」 頬に鈴の手が触れ、目が合う。 そのまま、唇が触れ合った。 金縛りにあったみたいに身体が動かなかった。 . [まえ][つぎ] [戻る] |